この駅から…

角松敏生による18枚目のシングル「この駅から…」は、1991年5月21日に発売されました。この曲は、同年にリリースされたアルバム『ALL IS VANITY』からの先行シングルとして発表され、大きな話題となりました。

アルバムバージョンとは異なるアレンジが施されている点が特徴的です。シングルバージョンでは、より洗練されたサウンドを目指し、ホーンセクションが追加され、イントロにはドラムのフィルが加えられました。このアレンジは、楽曲に新たな深みと広がりをもたらし、シングルとしての魅力をさらに高めています。その後、このシングルバージョンは、角松敏生のベストアルバム『1988-1993』にも収録され、幅広い世代のリスナーに親しまれることとなりました。

カップリング曲には、「PINK MOON」が収録されています。こちらはアルバム『ALL IS VANITY』には収録されておらず、シングルでしか聴くことができない貴重な楽曲です。この曲も角松敏生らしい、繊細でメロディアスなサウンドが魅力となっています。「PINK MOON」のアレンジには、小林信吾に加え、JERRY HEYがブラス・ストリングスアレンジで参加しており、豪華な布陣によって完成度の高い楽曲に仕上がっています。

「この駅から…」は、関西テレビ制作、フジテレビ系で放送されたドラマ『旅情サスペンス』のテーマ曲として書き下ろされました。ドラマの雰囲気と見事にマッチした、どこかノスタルジックで切ないメロディーは、多くの視聴者の心に響きました。ドラマの成功も相まって、このシングルは大きなヒットを記録しました。

楽曲の作詞・作曲は、いずれも角松敏生自身の手によるものです。彼の類まれな音楽センスと表現力が遺憾なく発揮された、完成度の高い作品と言えるでしょう。編曲には、角松敏生と小林信吾が共同で参加。息の合った二人の仕事ぶりが、このシングル全体の高音質と洗練されたサウンドを実現させています。

プロデューサーには角松敏生が、共同プロデューサーには小林信吾がクレジットされています。両者の連携が、このシングルにおける音楽的な方向性とクオリティを決定付ける上で重要な役割を果たしました。

「この駅から…」は、角松敏生の代表曲の一つとして、現在も多くのファンに愛され続けています。その美しく切ないメロディー、そして緻密に作り込まれたサウンドは、時代を超えて聴き継がれる価値を持つと言えるでしょう。シングルとしての魅力はもちろんのこと、アルバム『ALL IS VANITY』やベストアルバム『1988-1993』に収録されているバージョンを聴き比べることで、楽曲の新たな魅力を発見できるかもしれません。

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