こまばアゴラ劇場

こまばアゴラ劇場について

東京都目黒区に位置するこまばアゴラ劇場は、ミニマルな空間の中で演劇を愛する人々に新しい体験を提供する小劇場です。この劇場は、劇団青年団の主宰である劇作家・演出家の平田オリザが支配人および芸術監督を務めており、彼のビジョンのもとで独自の演劇プログラムが展開されています。

沿革

この劇場は1984年に映画監督の大林宣彦の夢によって設立されました。大林監督は、「自己の表現を大切にし、同じ感性を持つ観客にその作品を届けたい」と語り、彼自身が信じるアートを自由に上映できる場を求めました。この理念の下、初めての上映作品には大林監督の映画『廃市』が選ばれました。

設立当初は、劇団に劇場を貸し出す従来の方式で運営されていましたが、2003年に新たな試みとして「こまばアゴラ劇場プロデュース」制度を導入しました。この制度により、すべての公演は劇場の主導で行われ、平田オリザとプログラム・オフィサーが選定した作品が年間プログラムとして発表されます。このスタイルは観客に新たな価値を提供することを目的としています。

毎年、6月から7月にかけて開催される「岸田理生アバンギャルドフェスティヴァル（リオフェス）」は、理生さんを偲ぶ会によってプロデュースされ、多くの演劇ファンを魅了しています。これらの活動を通じて、こまばアゴラ劇場は、若手劇団の育成にも力を入れており、青年団の俳優やスタッフが手を差し伸べるなど支援体制が整っています。

若手劇団への支援

2013年度には様々な要因から助成金が減少し、劇場の経営に影響が出ましたが、それでも若手劇団を支えるという理念を維持し、一般貸出を再開しました。これにより、新たな才能が発掘され、演劇の発展が促進されることが期待されています。

映像作品としての利用

さらに、こまばアゴラ劇場は単なる演劇の場だけでなく、映画撮影にも利用されています。例えば、2015年には青春映画『幕が上がる』の一部がこの劇場で撮影されたことがあります。このように、さまざまな芸術表現の場として機能することも、この劇場の大きな特徴です。

現在の状況と未来

しかし、2023年12月1日、劇場側から2024年5月末の閉館を発表しました。その理由は、開場時からの負債問題が悪化したためで、資産処分を行った上での決定です。これにより、多くの演劇ファンや関係者が影響を受けることとなります。

住所は、目黒区駒場1-11-13で提供されており、多くの観客やアーティストに親しまれてきました。これまでの歴史を振り返ると、こまばアゴラ劇場は少人数のパフォーマンスから大きなイベントまで多様な活動を支えてきた貴重な場所であり、閉館を惜しむ声も多くあります。さらに、平田オリザの創作理念は、今後も演劇の世界で影響を与え続けることでしょう。

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