これがニッポン放送のステレオだ! ステレオオープニングスペシャル

1992年3月15日、ニッポン放送はAMステレオ放送の開始を記念し、午前8時58分から午後1時までの約4時間にわたる生放送のラジオ特別番組「これがニッポン放送のステレオだ！ステレオオープニングスペシャル」を放送しました。この番組は、ニッポン放送がステレオ放送を開始した最初の記念すべき番組です。

放送当日、木更津送信所では、通常、有楽町の本社（演奏所）からの遠隔操作でモノラルからステレオへの切り替えが可能でしたが、この日は特別に、ニッポン放送の技術スタッフが午前9時00分の時報に合わせて手動でステレオ放送に切り替えました。

番組のパーソナリティは、三宅裕司さん、当時ニッポン放送アナウンサーだった上柳昌彦さん（現在はフリー）、そして元ニッポン放送アナウンサーの石川みゆきさんが務めました。ゲストにはTHE ALFEE|THE_ALFEEの坂崎幸之助さん、街頭レポーターには当時ニッポン放送アナウンサーだった桜庭亮平さん（後にフジテレビアナウンサー）、東京ドーム中継にはニッポン放送スポーツ部アナウンサーの松本秀夫さんと解説者の江本孟紀さんが登場しました。

番組は、午前8時58分に第7スタジオ（通称:レッドスカイスタジオ）にいる上柳アナのフリートークから始まりました。隣接する第6スタジオ（通称:ブルースカイスタジオ）では、最後のモノラル放送を終えたイルカさんと坂崎幸之助さんとのやり取りが繰り広げられました。午前8時59分40秒からはカウントダウンが始まり、ステレオ放送開始後には、当時の放送番組のタイトルコールや「ショウアップナイター」の実況音声が流れました。その後、ニッポン放送の社屋（当時）屋上から三宅さんと石川さんがステレオに切り替わった瞬間をレポートしました。

ステレオ放送で最初に流れたコマーシャルは新日本空調のものでした。また、ゲストの坂崎さんは、ステレオで音が出せるギターで同局の深夜番組「オールナイトニッポン」のテーマ曲「BITTERSWEET SAMBA」を演奏し、ステレオならではの音の広がりを表現しました。さらに、人間の頭の形をして耳の部分にマイクが組み込まれている特殊なマイク、アーヘナコプフ（バイノーラル）を使って新幹線車内などの効果音を収録し、臨場感あふれる音響体験を提供しました。

街頭からは、桜庭アナが秋葉原電気街からAMステレオ放送対応の受信機がどの店も品切れ状態であることなどをレポートしました。当日、多くの店で受信機が品切れ状態だったため、番組では視聴者からの電話で、まだ在庫があり販売している店に関する情報を募りました。東京ドームからは、松本アナと江本さんがプロ野球などステレオ放送で聴くスポーツ中継の魅力を伝えました。番組中、松本アナの声は左から、江本さんの声は右から聞こえるなど、ステレオ放送ならではの演出がされました。

この番組で、ニュースと交通情報を伝える番組冒頭のジングルがリニューアルされ、この時に使用されたジングルは2000年3月まで使用されました。それまで使われていたジングルは1970年代から長きにわたって使用されていたものでした。

この特別番組は、ニッポン放送がステレオ放送を開始した歴史的な瞬間を捉えた貴重な記録であり、当時のラジオ業界における技術革新を示す象徴的な出来事でした。

関連項目
* ニッポン放送番組一覧

もう一度検索