さすらいの二人とは？意味をやさしく解説

さすらいの二人

『さすらいの二人』（原題: Professione: reporter）は、1975年に公開されたミケランジェロ・アントニオーニ監督によるイタリア、スペイン、フランス合作の映画です。この作品は、ジャック・ニコルソンとマリア・シュナイダーという二人の名優を迎え、観る者の心を揺さぶる深い心理描写と、独特の映像美で、公開当時から高い評価を得ています。

あらすじ

物語の中心となるのは、ジャーナリストのデイヴィッド・ロック（ジャック・ニコルソン）。彼はアフリカでの取材中に、ある出来事をきっかけに行方不明となります。しかし、彼の失踪後、残された妻は既に新たな関係を築いていました。一方、ある組織は、放浪するロックを危険人物とみなし、彼を追跡するために一人の女性（マリア・シュナイダー）を送り込みます。彼女は旅行中の女学生を装い、ロックに近づきます。

二人は旅先で出会い、刹那的な恋に落ちますが、束の間の愛はすぐに終わりを告げます。そして、組織の親玉がロックの滞在するホテルを訪れた後、銃声が響き、警察が駆けつけます。部屋には男性の死体が転がっており、警察はロックの元妻と、追跡者の女性それぞれに、この男性を知っているかどうかを尋ねます。元妻は「知らない」と答え、追跡者の女性は「知っている」と答えます。この最後のやり取りは、物語の結末を暗示するとともに、観る者に深い余韻を残します。

作品の特徴

この映画は、アントニオーニ監督特有の、言葉少なな登場人物たちの心の動きや、孤独感を映像で表現するスタイルが際立っています。また、ジャック・ニコルソンとマリア・シュナイダーの演技も、この映画の魅力を引き立てる上で重要な役割を果たしています。特に、マリア・シュナイダーは、この作品でその美しさとミステリアスな雰囲気を存分に発揮しています。

さらに、この映画の見どころの一つとして、終盤には、映画史に残るほどの長回しシーンがあります。このシーンは、オーソン・ウェルズ監督の『黒い罠』冒頭シーンにも匹敵すると言われるほどで、観る者を物語の世界に引き込み、緊張感を高めます。

スタッフとキャスト

- ジャック・ニコルソン（デイヴィッド・ロック役）
- マリア・シュナイダー（女役）
- イアン・ヘンドリー（マーティン役）
- ジェニー・ラナカー（レイチェル・ロック役）

備考

『さすらいの二人』は、1976年に日本でも公開され、多くの映画ファンを魅了しました。この作品は、単なるサスペンス映画としてだけでなく、人間の心理の奥深さや、存在の不確かさを描いた作品として、今もなお多くの人々に愛されています。アントニオーニ監督の映像美と、出演者たちの演技、そして物語の展開が、観る者を飽きさせない傑作です。

外部リンク

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