さそり座X-1

さそり座X-1の概要

さそり座X-1は、地球から約9000光年離れた場所に位置するX線源であり、低質量X線連星に分類されます。この天体は、太陽系外で最初に発見されたX線源であり、太陽に次ぐ強力なX線を放射しています。X線の強度は日々変化しており、さそり座の変光星V818に付随しています。

発見と初期の研究

1962年、アメリカの科学者リカルド・ジャコーニ率いるチームが、エアロビー150ロケットを使用して月からのX線放射を観測する中でさそり座X-1を発見しました。当時、観測装置は空間分解能が不十分で、正確に位置を特定することができなかったため、初めは銀河系の中心近くにあると推測されていました。しかし、後の研究でさそり座の中に位置することが確認され、名付けられたのです。

1962年6月12日、エアロビーロケットによる観測の結果、さそり座X-1の位置は赤経16時15分、赤緯−15.2°であると記録されました。ただし、別の文献では1962年6月19日に打ち上げられたことが触れられています。なお、使用された観測装置は月のX線を観測することを目的としていたため、他の天体の位置特定には不向きでした。そのため、さそり座X-1からのX線放射は広がりを持ったものとして捉えられていました。

1962年10月には再度の観測が行われましたが、銀河中心が地平線下にあったためにX線を捕らえることはできませんでした。次の観測は1963年6月に行われ、ようやくさそり座X-1のX線放射を確認することができました。銀河中心とさそり座X-1は非常に近い位置関係にあったため、当初の観測では判断が困難でした。ジョセフ・シクロフスキーは1967年にX線と可視光の観測を組み合わせ、中性子星が伴星から物質を引き込んでいることを突き止めました。

特徴と性質

さそり座X-1は、約2.3×10^31ワットのX線を放射し、これは太陽の放射の約6万倍に相当します。X線強度は時間とともに変化し、可視光でも不規則な変光を示しますが、X線と可視光の変化には特に相関関係は見られません。さそり座X-1自体は中性子星であり、その強力な重力によって伴星から物質を引き寄せ、降着円盤に形成しています。降着円盤に集まった物質は、最終的に中性子星の表面に落下し、この時に膨大なエネルギーが放出されます。このエネルギー放出は、エディントン限界での物質降着と同じほどの強度です。

このように、中性子星と伴星から構成される系は低質量X線連星に分類されます。中性子星の質量は太陽の約1.4倍ですが、伴星は太陽の0.42倍であり、両者が同時に誕生したとは考えられていません。最近の研究では、このような連星系は球状星団で近接した二つの天体が引き寄せ合った結果だと考えられています。

まとめ

さそり座X-1は、さまざまな研究において重要な天体であり、低質量X線連星の例として数多くの知見を提供しています。今後の観測や研究が、さらなる理解を促すことにつながるでしょう。

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