さぬき三十三観音霊場

さぬき三十三観音霊場：香川を巡る霊験あらたかな旅

さぬき三十三観音霊場は、香川県（旧讃岐国）に点在する真言宗系の寺院33カ所からなる巡礼霊場です。それぞれの寺院では、観世音菩薩を本尊または副尊として祀っています。別名「讃岐三十三観音霊場」や「讃岐観音霊場」とも呼ばれ、西国三十三所を模して室町時代頃に創建されたと推測されています。

栄枯盛衰の歴史と復興

平安時代に開かれた西国三十三所にならい、各地で写し霊場が誕生しました。さぬき三十三観音霊場もその一つですが、戦国時代の戦乱や明治時代の廃仏毀釈、そして四国八十八箇所の存在などにより、かつては衰退の一途を辿っていました。

しかし、高度経済成長期以降、経済至上主義への反動として、人々の心の豊かさや協調性を大切にする機運が高まりました。この流れを受け、1977年（昭和52年）10月、香川県内の33カ寺が中心となり、さぬき三十三観音霊場は復興を果たしました。

霊場の特色と巡礼の魅力

さぬき三十三観音霊場は、観音経普門品の世界観を体現する場として位置付けられています。霊場を構成する寺院の中には、四国八十八箇所の札所の塔頭や奥之院、番外霊場となっている所もあり、弘法大師ゆかりの場所を訪れることも巡礼の目的の一つと言えるでしょう。巡礼の結願後は、弘法大師の三大霊場のひとつである善通寺で御礼参りをします。

香川県は四国で最も面積が狭いため、さぬき三十三観音霊場の巡礼は、他の四国遍路に比べて時間的・経済的な負担が少なく済みます。これは大きな魅力と言えるでしょう。

巡拝用品と納経

四国八十八箇所や四国別格二十霊場と同様に、さぬき三十三観音霊場でも専用の納札が用意されています。納札の色は巡拝回数によって変わり、2回までは白、3～4回目は緑、5～9回目は黄、10～14回目は赤、15～19回目は銀、20回以上は金と定められています。錦札はありません。

納経は、既に朱印が押されたリフィルをファイルに綴じるバインダー方式です。軸や額装用の納経朱印も用意されています。これらの巡拝用品は、霊場会の参加寺院のうち、物販本部を引き受けている寺院で購入可能です。公認の案内役（先達）制度はありません。

まとめ

さぬき三十三観音霊場は、歴史と信仰が深く根付いた巡礼霊場です。コンパクトな巡礼範囲でありながら、充実した霊場体験を提供しています。観音経普門品の世界観に触れ、弘法大師ゆかりの寺院を訪れ、そして心の平安を得る旅へと誘います。 経済的な負担も比較的少ないため、気軽に始めることができるのも大きな魅力です。 四国遍路の経験者にも、新たな巡礼の楽しみを提供してくれるでしょう。

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