さよならは突然に

さよならは突然に

「さよならは突然に」は、日本の伝説的な女性デュオ、ザ・ピーナッツによって1972年に発表されたシングル楽曲です。彼女たちのキャリア後期の代表曲の一つとして知られています。

この楽曲の作曲と編曲を手がけたのは鈴木邦彦氏です。彼がザ・ピーナッツのために作曲した楽曲は、彼女たちの多くのヒット曲を手がけた宮川泰氏や筒美京平氏などに比べると多くありませんが、以前にも「ガラスの城」といった作品を提供しています。作詞は山上路夫氏が担当しました。

楽曲全体を通して描かれるのは、降りしきる雨の中で告げられる突然の別れ、「さよなら」の瞬間です。切なさと情景描写が見事に融合し、聴く者の心に深く響くメロディーと歌詞が特徴です。

この楽曲が発表された1972年頃、ザ・ピーナッツはグループとしての活動に終止符を打つことを検討し始めていました。そのためか、この時期から1975年4月の引退までの間に発表された楽曲には、「さよなら」や「別れ」をテーマにしたものが少なくありません。「さよならは微笑んで」や「お別れですあなた」なども、そうした時代の空気を感じさせる一曲であり、「さよならは突然に」もまた、彼女たちのキャリアの終盤を象徴する楽曲と言えるでしょう。

本作は、発表された年の末、1972年12月31日に放送された『第23回NHK紅白歌合戦』でも歌唱されました。この大舞台でのパフォーマンスは、多くの視聴者の記憶に残っています。

この時の指揮を務めたのは、作曲者の鈴木邦彦氏ではなく宮川泰氏でした。宮川氏が急遽指揮台に立った、というエピソードも語り継がれています。さらに興味深いのは、対戦相手であったビリー・バンバンが披露した楽曲が「さよならをするために」であったことです。図らずも「さよなら」というテーマで対峙する形となり、両グループのパフォーマンスが注目を集めました。ちなみに、ザ・ピーナッツは後にビリー・バンバンの「さよならをするために」をカバーしており、ここにも不思議な縁が感じられます。この紅白歌合戦におけるザ・ピーナッツの歌唱は、佐良直美氏の紹介で始まりました。

そして、グループが活動を終える最後のステージとなった、1975年4月5日開催の『ザ・ピーナッツ さよなら公演』（NHKホール）においても、本作は披露されています。この公演では、「情熱の砂漠」の一番と「さよならは突然に」の二番を組み合わせた形で歌唱され、まさに有終の美を飾るにふさわしい、感動的なパフォーマンスとなりました。

幸いなことに、前述の紅白歌合戦での歌唱シーン、そして歴史的なさよなら公演での映像は、NHKに保存されており、現在でもその貴重な記録に触れることができます。これにより、「さよならは突然に」という名曲が、ザ・ピーナッツの輝かしいキャリアの重要な一部であったことが、映像としても後世に伝えられています。

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