さよなら人類/らんちう

たまのデビューシングル『さよなら人類/らんちう』

日本のバンド・たまが1990年5月5日にリリースしたデビューシングル『さよなら人類/らんちう』は、音楽史に残る名曲の一つです。オリコン週間シングルランキングでは初登場で1位を獲得し、最終的には59万枚以上の売上を記録しました。このシングルは、たまのメジャーデビューを飾る作品であり、同バンドの特徴的な音楽スタイルを広く知らしめるきっかけとなりました。

音楽番組との関わり

『さよなら人類/らんちう』はTBS系の音楽番組『平成名物TV・三宅裕司のいかすバンド天国』で演奏され、たまはこの番組の14代目イカ天キングに選ばれることで名声を得ました。この番組で初めて「らんちう」を披露し、続けて「さよなら人類」も演奏され、聴衆に強い印象を残しました。特に「さよなら人類」の音楽性は、バンドの独自性を見事に表現していました。

シングルジャケットと発売の裏話

メンバーの一員である石川浩司は、自伝の中でシングルのジャケットが最初に予定していたものとは大きく異なっていたことを述べています。時には発売日の延期を承知でジャケットのデザイン変更を求める声もあり、メンバー間の意見が反映された結果、現在のスタイルが確立されたようです。

また、カセットテープ盤もリリースされ、こちらには特別に楽曲のカラオケバージョンが追加されています。これにより、ファンがより多くの楽しみ方を持てるようになりました。

売上と人気

このシングルは、発売から5週間後に再びオリコンランキングの1位に返り咲くなど、安定した人気を誇ります。そして1990年の年間シングルランキングでも第4位にランクインし、NHK紅白歌合戦にも「さよなら人類」で出場するなど、たまの名を一躍有名にする結果となりました。さらに『第32回日本レコード大賞』では最優秀ロック新人賞を受賞し、バンドの地位を確立させました。

収録曲について

シングルに収録されている「さよなら人類」と「らんちう」は、両曲とも個性的な魅力を持っています。「さよなら人類」は柳原幼一郎が作詞・作曲を手掛け、宝酒造のCMソングにもなりました。石川によると、この曲はフリーセッションから生まれ、別の楽曲「家族」もこのセッションから誕生しました。

一方、「らんちう」は知久寿焼による作品で、川崎製鉄のCMでも使用されました。この曲はチュウした金魚を象徴しており、ライブパフォーマンスでも柳原の台詞が交替されています。もともとは知久が少年時代に飼った金魚を元にした楽曲であり、たまの初期から演奏されていました。

アフターストーリー

『さよなら人類』はバンド内で特に思い入れが強く、1995年に柳原が活動を休止した後も、多くのアーティストによってカバーされています。柳原は自身のセルフカバーを収録したアルバムも発表するなど、作品は今日まで語り継がれています。さまざまなアーティストの解釈によって新たな息吹が与えられるこの曲は、日本の音楽シーンにおいて欠かすことのできない存在となっています。

このように『さよなら人類/らんちう』は、たまのスタート地点であるだけでなく、日本の音楽の歴史に確固たる影響を与えた一枚として、特別な意味を持つ作品なのです。

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