さらば、わが愛/覇王別姫

映画『さらば、わが愛/覇王別姫』の概要

『さらば、わが愛/覇王別姫』（原題: 覇王別姫）は、1993年に公開された中国、香港、台湾の共同制作による映画であり、監督は陳凱歌（チェン・カイコー）が務めました。この作品は、近代中国の激動の歴史、具体的には日中戦争や文化大革命を背景にして、京劇役者である程蝶衣（小豆子）と段小楼（石頭）の人生を描いています。物語は、彼らを中心に形成された愛憎劇で、彼らの運命と京劇の世界が絡み合うさまを探ります。政府や時代に翻弄されながらも、彼らの強い絆が試される様子が描かれています。

あらすじ

物語は1920年代の北京から始まります。京劇俳優になるために養成所に入った小豆子は、母に捨てられ、多指症のために入門を断られた挙句、厳しい稽古に日々耐える姿が描かれます。仲間からのいじめに苦しむ中、先輩の石頭が彼女を助けてくれます。やがて、小豆子は彼に同性愛的な思いをいだくようになり、彼の舞台を見て感動する様子が印象的です。

物語が進むにつれ、小豆子は名前を蝶衣として、京劇界で名声を手に入れます。彼女と石頭は共演し、共にトップスターとなります。しかし、彼女の生活は必ずしも順風満帆ではありません。石頭は菊仙という女郎と結婚し、蝶衣は彼女に対して嫉妬心を抱くようになります。この嫉妬心はやがて、彼女の運命に暗い影を落とすことになります。

1937年、日中戦争が激化する中で、蝶衣と小楼はそれぞれの道を歩むことになります。蝶衣はアヘンに依存し、石頭は別の女性との生活を追求します。戦争と個人の事情が絡み合う中で、彼らは京劇の舞台へと戻る決意を固めます。しかし、戻った先には文化大革命の影が迫り、さらなる困難が待ち受けています。彼らは愛憎や裏切り、そしてそれに伴う哀しみを抱えながら、それぞれの運命に立ち向かうことになります。

映画の受賞歴と影響

この映画は、1993年に開催された第46回カンヌ国際映画祭において、名誉あるパルム・ドールを受賞しました。この受賞が、多くの人々を映画館へと引き寄せ、中国映画の位置づけをより一層強化する結果となりました。また、2023年には4K版が公開され、その映像美と深いテーマ性が再評価されています。

さらに、2008年には日本でも舞台化され、その際には東山紀之が女形に挑戦しました。これは、中国の伝説的な物語が、他国でも新しい形で演じられることを示しています。

まとめ

『さらば、わが愛/覇王別姫』は、個人の命運と歴史の波が交錯する感動的な作品であり、京劇を通じた文化と愛の儚さを地で行きながら、観客に深い余韻を残します。愛、嫉妬、裏切り、そして希望をテーマにしたこの映画は、時代を超えて見る者の心に残ることが約束されています。

もう一度検索