多指症

多指（趾）症の概要

多指（趾）症とは、手や足において通常の数以上の指や趾が存在する先天性の奇形を指します。指が分岐して形成され、結果として手足の指の数が6本を超える場合が多いです。これに対して指の数が少ない場合には「欠指（趾）症」と呼ばれます。多指症は先天的な異常の中で一定の割合を占めており、他のさまざまな症候群とも関連しています。

多指症の特徴

多指症には、指が痕跡的に出ているものや、細い茎でつながっている浮遊型、完全な形状の指まで、さまざまなバリエーションがあります。多指症は、特にアフリカ系の人々に多く見られますが、どの人種にも発症する可能性があります。日本には、手の親指や足の指の第V趾で特に多く確認されるケースがあります。また、ブラジルでは14人の家族全員が多指症であった事例も報告されています。

現代において、特に先進国では、多指症の子供が生まれると、早期に過剰な指の切断を行うことが一般的です。この場合、切断する指の選択には指の構造や機能、筋肉や関節の異常を考慮することがあります。手術は通常、指の機能が安定する1歳頃までに行われることが主流です。

歴史と文化

興味深いことに、国や文化によっては、多指症が身体的な特徴として尊重されることもあります。「隋書」の西域伝にはある地域の風習として、全ての子どもが六本指でないと育てないという記録があります。これは多指症が特定の価値を持つ文化においては、良しとされていたことを示唆しています。

動物における多指症

犬や猫にも多指症の事例があり、例えばアーネスト・ヘミングウェイの飼い猫が多指症であったことで知られています。この猫の子孫は「ヘミングウェイの猫」として現在も存在し、多指症が遺伝することが確認されています。また、犬の後肢に存在する通常の指に当たる第一趾は「狼爪」と呼ばれ、この部分が過剰に発達した多指症のケースもあります。特に烏骨鶏は、1本多い指を持つことで知られており、この遺伝子の変異が人間の多指症とも関わっていることが、名古屋大学とウィスコンシン大学の共同研究によって明らかになりました。

多指症の著名な人物

歴史的には、多指症を持つとされる著名人も数多く存在します。例えば、豊臣秀吉は右手に二本の親指を持っていたと記録されています。また、中国の明代の詩人である祝允明も6本の指を持っていました。アン・ブーリンやアントニオ・アルフォンセカのように、スポーツや芸術において多指症が影響を与えた人物もいます。

フィクションにおける描写

文学作品や映画でも、多指症はしばしば取り上げられます。R・A・ラファティの短編小説『時の六本指』などは、多指症をテーマにした作品の一つです。漫画やアニメでは、多指症を持つキャラクターが登場する場面もあり、しばしばその特異性がストーリーに影響を与える要素として描かれています。

結論

多指（趾）症は、手足において通常の構造から外れた形状を持つ先天性の疾患であり、その症状や文化的背景には多くの興味深い事例が存在します。手術による治療が一般的ですが、文化や時代によってはその形状が珍重されたこともあり、多指症は医学的な側面だけでなく、人間の経験や文化とも深く結びついていることがわかります。

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