さらば青春の光 (映画)

『さらば青春の光』解説：1960年代イギリス、若者たちの光と影

『さらば青春の光』（原題：Quadrophenia）は、1979年に公開されたフランク・ロッダム監督によるイギリス映画です。1960年代初期のイギリスにおけるユース・カルチャーの二大勢力、モッズとロッカーズの対立を背景に、一人のモッズ青年の青春を描いています。

ストーリー

1964年、広告会社の郵便室で働くジミー・クーパーは、週末になるとモッズ仲間と騒ぎを起こし、改造スクーターで暴走し、アンフェタミンを常用し、ロッカーズと喧嘩に明け暮れる日々を送っていました。彼はステフという女性に惹かれますが、彼女には恋人がおり、相手にされません。

ある日、ジミーは幼馴染のケヴィンと再会します。ケヴィンはロッカーズになっており、ジミーは戸惑いますが、二人は友情を保ちます。しかし、ある夜、ジミーの仲間がロッカーズに暴行を受け、その報復に向かったジミーたちは、誤ってケヴィンを襲ってしまいます。ジミーは激しく後悔し、その場から逃げ出します。

ドラッグに溺れるジミーたちは、薬局で窃盗を働き、無断欠勤を繰り返します。そして、バンク・ホリデーにブライトンへ向かいます。そこではモッズとロッカーズが集結し、大規模な乱闘事件が発生。ジミーはステフと逃げ込みますが、逮捕されてしまいます。さらに、憧れの存在だったエース・フェイスがベルボーイとして働く姿を目撃し、幻滅します。

失意のジミーは、ステフに冷たくされ、愛車も壊れてしまいます。再びブライトンへ向かった彼は、エースのベスパを盗み、ビーチー岬へ。そして、崖からベスパごと海へ飛び込みます。

映画の特徴

時代背景の再現: 1960年代のモッズとロッカーズのファッション、スクーター、音楽、ドラッグといった文化が詳細に再現されています。
ロケーション撮影: スタジオ撮影は一部のみで、ほとんどのシーンがロケーション撮影で行われています。特にラストシーンのビーチー岬は、自殺の名所としても知られています。
* ザ・フーの音楽: 原作はザ・フーのアルバム『四重人格』であり、劇中には彼らの楽曲が多数使用されています。また、メンバーも制作に関わっています。

サウンドトラック

サウンドトラック・アルバムには、ザ・フーの楽曲に加え、ジェームス・ブラウン、ザ・キングスメン、ブッカー・T&ザ・MG'sなど、当時のヒット曲が多数収録されています。

キャスト

フィル・ダニエルズ (ジミー・クーパー)
レスリー・アッシュ (ステフ)
フィリップ・デイヴィス (スパイダー)
マーク・ウィングエット (デイブ)
スティング (エース・フェイス)

製作の背景

ザ・フーのマネージャーだったビル・カービシュリーがプロデュースし、ピート・タウンゼントをはじめとするザ・フーのメンバーがエグゼクティブ・プロデューサーを務めました。制作中にドラマーのキース・ムーンが急死しましたが、制作は続行されました。

その他

公開40周年となる2019年にはデジタルリマスター版が公開されました。また、本作にインスピレーションを得た続編映画も製作されています。

『さらば青春の光』は、1960年代の若者たちのリアルな姿を描き出し、時代を超えて観る者の心に響く作品です。モッズとロッカーズの抗争、ドラッグ、恋愛、そして挫折を通して、青春の光と影を鮮烈に映し出しています。

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