されどわれらが日々

されどわれらが日々ー

「されどわれらが日々ー」は、著者柴田翔による中編小説で、1960年代の学生運動を背景にした青春小説です。この作品は、同人誌「象」に初めて発表された後、1964年に「文学界」に掲載され、その後、文芸春秋新社より258ページの本として出版されました。1964年上半期には第51回芥川龍之介賞を受賞し、特に1960年代から1970年代にかけての若者たちにとってのバイブルとして広く受け入れられました。

背景

作品は1955年の日本共産党による武装闘争の方針撤回を境に、東大を舞台としています。著者である柴田翔は1962年にドイツへ留学する前にこの作品を完成させ、その後、186万部という驚異的な売上を記録しました。この小説は、当時の社会情勢や若者の心理を反映した内容となっており、特にデモ活動に参加していた若者たちの葛藤や、家庭に入った女性たちの生きざまを描写しています。

あらすじ

物語は、学生運動が盛んだった時代を背景に描かれています。登場人物は、デモに参加するも挫折感を抱える男性学生や、運動が終息した後に主婦としての生活に疑問を感じる女性たちです。彼らは、戦いの中での出会いや別れ、さらには裏切りや死といったテーマを通して、何も確かなものがない時代に向き合っています。物語の中では、彼らの苦悩や喜び、希望が交錯し、特にの若者たちの葛藤が強調されて描かれています。

また、この作品は人間関係の複雑さを浮き彫りにし、また、若者たちが持つ理想と現実との乖離を表現しています。彼らがどう生き抜いていくか、どう自分自身を見つけ出していくのかが大きなテーマとなっており、読者もまたそのリアルな描写によって感情移入を促されます。

影響と評価

「されどわれらが日々ー」は、その後も多くの読者に影響を与え、学生運動に関心を持つ若者たちや、人生に困難を抱える人々にとっての指標となりました。柴田翔の筆致は、感受性豊かな若者たちの心の揺れ動きを見事に捉えています。

この作品に登場する登場人物たちの闘争は、単なる政治的活動にとどまらず、個々の内面に潜む問いかけでもあります。作品全体を通して、彼らは自分自身の存在意義や生きる力を探し求め続け、その中で得た経験が彼らを成長させる様子が描かれています。

結論

「されどわれらが日々ー」は、青春の痛みと喜び、希望と絶望を巧みに織り交ぜた作品です。柴田翔の描く世界は、ただのフィクションにとどまらず、当時の社会や若者たちの心情をリアルに浮かび上がらせ、読者に深い印象を与え続けています。この小説は、現代に生きる私たちにも多くのことを考えさせる価値ある作品です。

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