さわやか (麻丘めぐみのアルバム)

さわやか (麻丘めぐみ)

『さわやか』は、歌手・麻丘めぐみが1972年8月5日にリリースした、キャリア初のスタジオ録音によるオリジナルアルバムです。同年6月に鮮烈なデビューを飾ったシングル「芽ばえ」の成功を受けて制作され、当時の麻丘めぐみの持つ清純で瑞々しい魅力を凝縮した作品となっています。ビクター音楽産業（現在のビクターエンタテインメント）から、規格品番GAM-1001として発売されました。

アルバム内容と特徴

本アルバムは、ヒットシングル「芽ばえ」のカップリング曲「素晴らしき16才」をはじめ、書き下ろしのオリジナル楽曲を中心に構成されています。それに加えて、当時のヒットメーカーである筒美京平が他のアーティスト、特に平山三紀に提供した楽曲を麻丘めぐみ流にカバーしたバージョン（「さよならのブルース」「ふたたび愛を」「希望の旅」など）も収録されているのが特徴です。また、当時コカ・コーラのCMソングとして世界的に知られていたザ・ニュー・シーカーズの「愛するハーモニー」や、ニール・リードが歌った「ママに捧げる詩」といった海外楽曲の日本語カバーも収められており、当時の洋楽ヒットを日本のアイドルが歌うという時代の流れも反映されています。

アルバムの構成にはユニークな点があり、純粋な楽曲演奏だけでなく、曲間に麻丘めぐみ本人による語りやおしゃべりが随所に挿入されています。これにより、リスナーはまるで彼女と直接話しているかのような親近感を覚え、よりパーソナルな魅力を感じられる作りとなっています。付属の見開き歌詞カードには、ファンからの質問に答えるQ&Aコーナーが掲載されるなど、多角的に麻丘めぐみの世界観を楽しめる仕掛けが盛り込まれていました。

アルバムジャケット写真は、ボートに乗った麻丘めぐみが写る印象的なものです。これは後に、東京都の井の頭恩賜公園内で撮影されたことが本人の口から明かされています。

興味深いエピソードとして、本作は発売元のGAMレーベルから出されたヒット第1弾でしたが、次に同レーベルから発売された第2弾が、音楽性において対極ともいえる頭脳警察のアルバム『頭脳警察3』(GAM-1002)でした。しかし、この全く異なる両作品が共にヒットを記録したことから、麻丘めぐみと頭脳警察は同時に社内賞を受賞したと伝えられています。

再発とCD化の歴史

アナログLP盤として発売された後、『さわやか』は時代の流れと共に様々な形態で再リリースされています。

1991年4月21日: 初のCD化が実現しました。この時は単独ではなく、次のアルバム『あこがれ』（1972年12月20日発売）とカップリングされ、『定番コレクション2in One 「さわやか + あこがれ」』としてリリースされました。
2002年12月15日: 再び『あこがれ』との2in One形式でCD化されています。
2009年3月25日: 麻丘めぐみの芸能生活50周年を記念して、初めて単独でのCD復刻が実現しました。この盤は、最新リマスタリングによる高音質化、アナログ盤の質感を再現した紙ジャケット仕様で、本人への新規インタビューも収録されました。タイトルは『さわやか +11』とされ、オリジナルLP収録曲に加えて、1973年のベストアルバム『ベスト・コレクション'74』にのみ収録されていた未CD化音源や、その他のボーナス・トラックとして合計11曲が追加収録されています。特に、ボーナス・トラックの12曲目「希望の旅」と13曲目「決めちゃったから」の間には、アナログ盤のSide A/Bの区切りを意識した約10秒間のブランク・タイムが意図的に挿入されています。

収録曲

LP盤 (1972年)

※全編曲：高田弘

Side A

1. 芽ばえ（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
2. としごろ（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
3. お母さん（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
4. 海辺の白い家（作詞：橋本淳／作曲：筒美京平）
5. さよならのブルース（作詞：橋本淳／作曲：筒美京平）※平山三紀カバー
6. ふたたび愛を（作詞：橋本淳／作曲：筒美京平）※平山三紀カバー

Side B

1. 素晴らしき16才（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
2. 愛するハーモニー（訳詞：長恭子／作曲：B.Backer / R.Cook / B.Davis / R.Greenaway）※ザ・ニュー・シーカーズ日本語カバー
3. ママに捧げる詩（訳詞：若谷和子／作曲：Bill Parkinson）※ニール・リード日本語カバー
4. たそがれ（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
5. 思い出の日記（作詞：千家和也／作曲：筒美京平）
6. 希望の旅（作詞：橋本淳／作曲：筒美京平）※平山三紀カバー

CD盤 (1991年・2002年版)

『定番コレクション 2in One 「さわやか + あこがれ」』として発売されたため、『あこがれ』の収録曲（M-13以降）も含まれます。

1. 芽ばえ
2. としごろ
3. お母さん
4. 海辺の白い家
5. さよならのブルース
6. ふたたび愛を
7. 素晴らしき16才
8. 愛するハーモニー
9. ママに捧げる詩
10. たそがれ
11. 思い出の日記
12. 希望の旅
13. 悲しみよこんにちは
14. 忘れるために
15. 見果てぬ夢
16. さよならの丘
17. 愛の迷い子
18. 手紙
19. 女の子なんだもん
20. やくそく
21. 恋する17才
22. 大人になる日
23. もしかしたら
24. 初めての恋

CD盤 (2009年版) 『さわやか +11』

オリジナル収録曲にボーナス・トラック11曲を追加。

1. 芽ばえ
2. としごろ
3. お母さん
4. 海辺の白い家
5. さよならのブルース
6. ふたたび愛を
7. 素晴らしき16才
8. 愛するハーモニー
9. ママに捧げる詩
10. たそがれ
11. 思い出の日記
12. 希望の旅
13. 決めちゃったから -ボーナス・トラック-（作詞: さいとう大三／作曲・編曲: 馬飼野俊一）
14. マリアの涙 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 馬飼野俊一）
15. 白い夜 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 高田弘）
16. クラスメイト -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲: 福沢俊介／編曲: 穂口雄右）
17. 枯葉が一枚 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 穂口雄友）
18. さよならの頃 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 馬飼野俊一）
19. 別れ道 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 馬飼野俊一）
20. キッス・ミー -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲: 福沢俊介／編曲: 穂口雄友）
21. 友達の恋人 -ボーナス・トラック-（作詞: 千家和也／作曲・編曲: 穂口雄友）
22. 芽ばえ -オリジナル・カラオケ、ガイドメロディー入り- -ボーナス・トラック-
23. たそがれ -オリジナル・カラオケ- -ボーナス・トラック-

関連事項

Premium BOX 〜オリジナル・アルバム・コレクション〜
GOLDEN☆BEST 麻丘めぐみ
1972年の音楽

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