さわや書店

さわや書店：岩手県に根付く書店チェーンの挑戦

さわや書店は、岩手県盛岡市に本社を置く、歴史ある書店チェーンです。盛岡市街地では東山堂と並び称される老舗として知られており、地域に深く根付いた活動を展開しています。

盛岡市街地の拠点：大通本店

中心となるのは、盛岡市大通にある大通本店です。文部科学省と岩手県教育委員会が指定する検定教科書販売窓口も設置されており、地域教育にも貢献しています。店舗は地上3階建てで、1階には地図や旅行ガイド、文庫本、雑誌、2階には児童書、専門書、教育書、参考書、そして教科書販売窓口が配置されています。3階以上のフロアはテナントビルとなっており、喫茶店、歯科医院、セレクトショップのほか、盛岡で人気のラーメン店チェーン「柳家」の本店も入居しています。

多様な店舗展開

大通本店以外にも、さわや書店は盛岡市内や岩手県内、さらには青森県にも店舗を展開しています。盛岡駅ビルフェザン内にあるフェザン店、松園店、雫石店、釜石市に2店舗、青森駅ラビナ店、野辺地店など、地域住民にとって利便性の高い立地を選択しています。各店舗では、地域特性に合わせた品揃えを心がけているほか、昭文社の「県別マップル」シリーズを全県版取り揃えている盛岡駅フェザン店など、特色ある店舗運営も見られます。

革新的な販促活動：文庫X

さわや書店は、積極的な販促活動でも知られています。特に注目を集めたのが、2016年7月に盛岡駅フェザン店で開始された「文庫X」プロジェクトです。これは、清水潔氏のノンフィクション『殺人犯はそこにいる』に特製カバーをかぶせ、内容を隠して販売するという、斬新な試みでした。この手法は大きな反響を呼び、全国600店以上の書店で「文庫X」が取り扱われるようになり、『殺人犯はそこにいる』の刊行部数は3万部から18万部にまで増加しました。

この成功は、東京の有名書店出身の社員によるPOP広告などの販促活動、そして「文庫X」といった独自の戦略が功を奏した結果と言えるでしょう。また、「文庫X」に感銘を受けたシンガーソングライター、橋爪もも氏による楽曲制作、販売なども行われ、書店を舞台とした文化的な広がりも生み出しました。

ポイントカードシステムとオンラインストア

さわや書店では、「honya Club」というポイントカードシステムを導入しています。複数の店舗でポイントが貯まり、利用でき、オンラインストアとの連携も図られています。オンラインストアで購入した書籍を最寄りの店舗で受け取れるサービスや、ポイントの合算など、利便性を高める取り組みがなされています。

地域社会への貢献

さわや書店は、単なる書籍販売店にとどまらず、地域社会に貢献する活動も積極的に行っています。検定教科書の販売や、地域イベントへの参加など、地域住民との繋がりを大切にしています。

過去の店舗と今後の展望

さわや書店はこれまで、盛岡市内を中心に複数の店舗を展開してきましたが、近年は店舗数の整理も行われています。これは、時代の変化や消費者のニーズの変化に対応するための戦略的な判断と言えるでしょう。

今後、さわや書店がどのように進化していくのか、注目が集まります。地域に根付いた老舗書店として培ってきたノウハウと、時代の変化に対応する柔軟性、そして積極的な販促活動によって、さらなる発展が期待されます。

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