さんふらわあ くれない

さんふらわあ くれない：環境と快適性を両立した新時代の長距離フェリー

2023年1月13日、商船三井フェリーが運航する新造フェリー「さんふらわあ くれない」が就航しました。大阪南港と大分県別府港を結ぶ航路に就航する同船は、従来の2隻の代替として建造され、環境負荷低減と快適性の向上を両立させた画期的なフェリーです。

環境への配慮：LNG燃料と先進技術

「さんふらわあ くれない」の最大の特徴は、日本初となるLNG（液化天然ガス）燃料の長距離フェリーである点です。これは商船三井の技術開発プロジェクト「船舶維新」の成果であり、環境負荷低減型フェリー案「ISHIN-II」を基に開発されました。LNGを主燃料とすることで、硫黄酸化物排出量を約85％、二酸化炭素排出量を約25％削減することに成功しています。さらに、重油にも対応した二元燃料エンジンを搭載し、高い環境性能と安定した航行を実現しています。

この高い環境性能は高く評価され、国土交通省の内航船省エネルギー格付制度で最高評価の5つ星を獲得。さらに、日本船舶海洋工学会のシップ・オブ・ザ・イヤー2022大型客船部門賞、グッドデザイン賞も受賞しています。LNGの供給は九州電力から別府港にて行われ、1往復につき1回の供給で航行を支えています。

充実の設備と快適な空間：カジュアルクルーズの新たなカタチ

「さんふらわあ くれない」は、単なる輸送手段ではなく、快適な船旅を提供することを目指しています。船内は、フラックス・デザインの渡辺友之氏によるデザインで統一され、「復活ときずな(KIZUNA)」をコンセプトに、旅館のような温かみのある和風を基調としたモダンな内装が施されています。

客室は、従来の雑魚寝スタイルを廃止し、一人当たりの面積を大幅に拡大。スイート・デラックスルームには、長距離フェリーとして初めて和室と洋室を組み合わせたコネクティングルームも用意されています。ペット同伴可能な客室や、シャワー付きのドッグランも完備し、ペットと共に快適な旅を楽しめます。

その他、公室スペースは従来の3.6倍に拡大され、プロジェクションマッピングや別府の竹細工アートなどを活用したエンターテイメント性の高い空間となっています。3層吹き抜けのアトリウムや、情報サービス端末「Sunflower Smart Quest（SSQ）」も設置され、快適な船旅をサポートします。大浴場も旧船の2倍の広さとなり、ゆったりとくつろげる空間を提供しています。

バリアフリーへの配慮と安全性

「さんふらわあ くれない」は、ユニバーサルデザインにも配慮した設計となっています。計画段階から障害者が参画し、エレベーター、トイレのバリアフリー化、クールダウンのための区画などが設けられています。誰もが安心して利用できる、安全で快適な船を目指しています。

まとめ

「さんふらわあ くれない」は、環境への配慮と快適性の両立を追求した、新しい時代の長距離フェリーです。LNG燃料による環境負荷の低減、充実した船内設備、そしてユニバーサルデザインへの配慮は、今後のフェリー業界における新たな基準となるでしょう。大阪と別府を結ぶ航路で、快適な船旅を提供し続けています。

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