さんふらわあ8

さんふらわあ8：日本の高速フェリーの歴史を刻んだ船

1973年7月4日、さんふらわあシリーズ4番船として就航した「さんふらわあ8」。来島どっくで建造された同船は、姉妹船「さんふらわあ5」とともに、東京～那智勝浦～高知航路に就航しました。この就航により、この航路は毎日運航体制となり、那智勝浦港への寄港が初めて実現したのです。当時の旅客船としては日本最高速を誇り、多くの乗客に快適な航海を提供しました。

当初は日本高速フェリーが運航していましたが、親会社である照国海運の倒産という困難に見舞われます。1976年10月には、「さんふらわあ5」が他の航路へ転配されましたが、「さんふらわあ8」は東京～那智勝浦～高知航路の運航を継続しました。この航路における同船の貢献は非常に大きかったと言えるでしょう。

その後も「さんふらわあ8」は活躍を続けました。1982年7月には来島どっくで旅客設備の改装工事が行われ、総トン数が増加しました。さらに、1984年2月には来島どっくへ売却されたものの、日本高速フェリーがチャーターバックする形で運航は継続されました。

1990年には日本沿海フェリーへ譲渡され、ドック入り時には同社のファンネルマークが施されました。同年11月、同社がブルーハイウェイラインに社名変更すると、「さんふらわあ とさと」と改名され、ファンネルマークもオレンジ一色に変更されました。

しかし、1997年7月、「さんふらわあ くろしお」の就航により、長きにわたる活躍に幕を閉じました。「さんふらわあ8」はその後、海外売船され、フィリピンでスルピシオ・ラインズによって「PRINCESS OF NEW UNITY」として新たな航海をスタートさせました。

「さんふらわあ8」の設計は、3番船である「さんふらわあ5」とほぼ同一です。先に建造された2隻の設計を踏襲しつつも、旅客設備の拡充が図られました。操舵室は1層高く配置され、総トン数が増加しました。また、ラウンジを内側に配置することで、客室を海側に配置するなど、船内配置も見直されました。

1等船室はバス・トイレ付きとなりましたが、隣室との共有構造であったため、乗客からは不評だったようです。姉妹船「さんふらわあ5」では後に改装が行われましたが、「さんふらわあ8」は引退までこのままでした。建造費は47億円と、1番船、2番船に比べて増加しています。

「さんふらわあ8」は、その歴史の中で、航路の開設、毎日運航体制の実現、そして数々の船会社での活躍を通して、日本のフェリー業界に大きな足跡を残しました。その功績は、長く人々の記憶に刻まれることでしょう。

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