しきしま (巡視船・初代)

巡視船「しきしま」に関する詳細

「しきしま」（JCG Shikishima, PLH-31）は、日本の海上保安庁が運用していたヘリコプター二機搭載型の巡視船です。本船は、当初建造された時点で世界最大の巡視船であり、長年にわたって海上巡視業務や安全確保に寄与してきました。2024年4月15日には老朽化に伴い解役されましたが、その活動履歴は多岐にわたります。

由来と建造背景

「しきしま」という名称は、日本の古い国号である「敷島」に由来しています。1970年代から80年代にかけて、日本で発生した使用済み核燃料の行き場が見つからず、プルトニウムの輸送が必要になったことが背景にあります。そのため、強固な監視警戒能力を備えた巡視船が必要とされ、本船の設計が始まりました。

設計と装備

「しきしま」の設計は、既存のPLH型と同様の全通甲板を有した長船首楼型が採用されています。これは、抗堪性に優れた内部構造と防弾機能を兼ね備えているため、厳しい条件下でも運用可能です。主機関にはディーゼルエンジンが4基搭載されており、合計出力は約3万から4万馬力に達します。さらに、ハイスキュード・タイプの可変ピッチ・プロペラによる推進力と、減揺装置としてフィンスタビライザーが2組備えられています。

その主兵装としては、90口径35mm機銃の連装マウントを搭載し、光学射撃指揮装置が基本となっているため、遠隔での操作が可能です。また、20mm多銃身機銃も装備し、従来からの単装マウントを改良した形で搭載されています。このほか、対空捜索用レーダーも設置されています。

搭載艇と搭載機

本船には、全天候型の救命艇と警備艇を各2隻ずつ搭載しています。搭載されている大型のAS.332型ヘリコプターは、通常二機を運用可能であり、この能力は巡視船の中でも特異なものです。このため、輸送や救助作業などにおいて、大きな効果を上げてきました。

主な活動履歴

1992年4月に竣工し、横浜海上保安部に配属、以後多くの護衛任務や洋上の安全確保に寄与してきました。特に1992年11月にはフランスからのプルトニウム輸送に際し、護衛任務を遂行しました。このように、本船は密接に国際的な安全保障と結びついた業務を行っていました。

また、海上保安庁の大規模な演習や海賊対策訓練にも参加し、オーストラリアの海上阻止訓練や、近年のG7サミットにおける警戒業務にも貢献ました。さまざまな国との協力も行い、国際的な海上安全保障の一翼を担いました。

解役と今後

「しきしま」はその長い任務を経て、2024年4月に解役されることが決まりました。老朽化が進み、代替船の建造が進められている中で、誇り高き歴史と成果を残しつつ、その役割を次の船に引き継ぐことが期待されています。解役に伴う式典は非公開とされましたが、長年にわたって海上巡視の最前線で活躍した実績は、今後の海上保安業務においても語り継がれていくでしょう。

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