国号

国号について

国号とは、国家の正式な名称、または称号のことを指します。本記事では、日本の国号である「日本」の成立過程、変遷、そしてその歴史的・文化的な背景について詳しく解説します。

日本の国号

「日本」の成立

日本の国号は「日本」であり、政体を含まない場合の正式名称です。「日本」という国号がいつ定められたかは明確ではありません。有力な説として、大化から大宝にかけての時期に定められたと考えられています。

「日本」の最初の確実な用例としては、大宝元年（701年）に施行された大宝律令に「明神御宇日本天皇」という文言が見られます。また、『日本書紀』（720年完成）には、大化元年（645年）に高句麗や百済の使者に示した詔に「明神御宇日本天皇」の文言が見られます。さらに、中[[国]]の史書である『隋書』（607年）には「日出づる処の天子」という記述があり、これも日本の国号に関連する初期の徴候と見なされています。

朝鮮半島の史書『三[[国史記]]』（12世紀編纂）には、「倭国、号を日本に更む。自ら言う、日出づるに近きを以て名を為す」という記述があり、7世紀後半に国号が「倭」から「日本」に変更されたことが示唆されています。

「天皇」号との関係

飛鳥池遺跡から出土した天武6年（677年）銘の木簡には「天皇」号が用いられており、「天皇」号の使用と「日本」号の使用は同時期に始まったと考えられています。2011年には、百済人武将の墓誌に678年制作と考えられる「日本」の文字が見つかり、これが事実であれば「日本」の国号が記された最も古い例となります。

中世における解釈

中世日本では、「大日本国」を「大日如来の本国」と解釈する説がありました。この説は『釈日本紀』にも記述されています。

近代以降の国号

近代以降の日本において、国号を定める法令は存在しませんが、大日本帝国憲法下では「大日本帝国」、日本国憲法下では「日本国」が国号として使用されています。明治4年（1871年）に鋳造された国璽には「大日本國璽」と刻まれており、明治7年（1874年）の改鋳でも印文は変更されていません。

明治維新以降、日本は国内外の文書で様々な国号を使用していました。しかし、昭和10年（1935年）に帝国議会で国号の不統一が問題視され、外務省は外交文書上の国号を「大日本帝國」に統一しました。宮内省もこれに同調し、同様の国号表記を用いることとなりました。

昭和21年（1946年）公布の日本国憲法では、「日本国」という語が用いられています。

国号を巡る揺れ

日本の国号を巡っては、「大日本帝国」と「日本国」の間で揺れが見られます。これは政体の変化に伴うものであり、同様の揺れは満洲国にも見られます。詳細については、大日本帝国の経緯をご参照ください。

中[[国]]における国号の概念

前近代の中[[国]]では、中原に住む部族の国家の国号は一字であり、非中原の異民族国家は国号が二字であるという意識がありました。そのため、後漢から南北朝期にかけて、日本が「倭」の国号で使節を送ることは中[[国]]側にとって違和感のあるものでした。聖徳太子が国号を「日本」と改めて国書を送ったことは、中[[国]]側にとっても納得のいくものであったとする見解もあります。

参考文献

「国号に見る「日本」の自己意識」前野 みち子（名古屋大学大学院国際文化研究科　言語文化研究叢書第5号（2006年3月）「日本像を探る」 ）
我国国号問題ニ関スル資料（外務省記録「条約ノ調印、批准、実施其他ノ先例雑件」外務省条約局第一課昭和11年5月 アジア歴史資料センター所収）

関連項目

国名

外部リンク

『国号の由来』：新字新仮名 - 青空文庫（喜田貞吉著）

もう一度検索