しき小股

しき小股（しきこまた）は、相撲における珍しい決まり手の一つであり、「舗小股」または「鋪小股」とも表記されます。この技は、相手力士が後ろ向きになった状態から、腰を深く落とし、相手の片足が自分の両足の間から前に出るように誘導します。その上で、その足を両手で掴み、後方へと倒すことで勝負を決めるというものです。

しかしながら、しき小股は、日本相撲協会が定める82手（非技を含めると87手）の決まり手の中には含まれていません。そのため、公式な記録としては、非常に珍しい技として扱われています。

過去の記録を調べてみると、1968年11月場所の9日目、幕下の取組において、東幕下50枚目の松前洋が東三段目5枚目の坂に対し、このしき小股を仕掛け、勝利を収めたという記録が残っています。これが、現在確認されている唯一の事例です。

相撲評論家の彦山光三は、相撲記者の三宅充から「ぜひ見てみたい珍しい決まり手はありますか？」と尋ねられた際、「しき小股」と「五輪砕き」の二つを挙げました。しかし、残念ながら彦山自身は、これらの決まり手を生で目にすることなく、1965年に亡くなりました。そして、彼の死後に、これらの幻の決まり手が世に知られることとなったのです。

しき小股は、その珍しさから、相撲ファンや研究家の間で語り継がれる、幻の決まり手の一つと言えるでしょう。

参考文献

三宅充著『大相撲なんでも七傑事典』講談社+α文庫、1995年。
伊藤八郎著『相撲のことなら何でもわかる 大相撲を10倍楽しむ法』朝日ソノラマ、1992年。

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧

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