しなの鉄道

しなの鉄道株式会社の概要と歴史

しなの鉄道株式会社（英：Shinano Railway Co., Ltd.）は、長野県上田市に本社を構える第三セクターの鉄道事業者です。この企業は、1997年および2015年にJR東日本から経営が分離された長野県内の在来線を運営しています。具体的には、しなの鉄道線と北しなの線の2路線を管理しており、長野オリンピックの開催を機に設立されました。

設立の背景と経営革新

しなの鉄道は、1998年に開業した北陸新幹線に伴って、JR東日本から軽井沢駅から篠ノ井駅までの区間を引き継ぎました。しかし、開業当初は新幹線への移行により、経営状況は厳しく、2001年には24億円以上の赤字を抱えることになりました。この状況を打開するため、経営改革が試みられました。

2002年には、エイチ・アイ・エスの創業者、澤田秀雄に再建を要請し、杉野正が社長に就任しました。彼は新たな乗降介助制度「トレインアテンダント」を導入し、経営の効率化に努める一方で、旅客サービスの縮小も経験しました。その結果、利益が回復へ向かったものの、杉野の経営方針が長野県知事と対立し、2004年に辞任しました。

その後、スカイマークの元社長、井上雅之が社長に就任し、減損会計を導入。これにより、経営は改善され、2005年度に初の黒字を達成しました。井上の後は、JR東日本出身の浅海猛が社長に就任し、さらなる経営基盤の強化を図りました。

北しなの線の開業と新たな展開

浅海の任期中には、北陸新幹線の延伸に伴って、新たに信越本線の運営権を引き継ぐ方針が決まり、北しなの線の運営がスタートしました。この新路線は、2015年に開業し、しなの鉄道の所管する路線が増えました。これにより、地域の交通網も充実し、観光振興にも寄与することが期待されています。

近年の挑戦と経営への影響

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で輸送人員が減少し、2021年には6期ぶりに赤字が発生しました。春日良太社長は、ダイヤ改正による減便方針を提案しています。このような中、会社はホーム短縮やICカード導入など、国との支援を要請し、より良い経営基盤を作るために奮闘しています。

車両の近況と特徴

しなの鉄道では、112系やSR1系といった多様な車両が導入されており、観光列車の運行なども行っています。特にSR1系電車は、軽量で快適な設計が特徴で、一般客向けの利便性を高める努力が続けられています。2023年には、全体の運用見直しがなされ、経営資源の最適化が進められています。

未来に向けた展望

しなの鉄道は、地域交通の密接な役割を果たしつつ、観光振興や住民の利便性向上に寄与することを目指しています。今後も、信州の魅力を発信するための取り組みを続け、地域への愛着を深める企業として成長していくことが期待されています。

もう一度検索