しんかい2000

しんかい2000について

しんかい2000（しんかいにせん）は、日本の海洋科学技術センターが運営していた有人潜水調査船です。この船は、日本が初めて所有した有人深海調査船「しんかい」の後継機として、三菱重工神戸造船所で製造されました。1981年に完成し、2002年11月まで海洋調査の最前線で活躍しました。現在、しんかい2000は新江ノ島水族館において動態保存され、一般の人々にその姿を見せています。

設計概要

船体

しんかい2000の最大の特徴は、球状の耐圧殻です。この耐圧殻は艇体前部に収納されており、乗員は内部に3名まで搭乗できます。耐圧殻には3つの窓があり、乗員はその窓から外界を観察し、操縦や研究活動を行います。また、前部にはマニピュレーターが装備されており、深海の試料収集が可能です。

推進システム

移動は艇尾に設置された主スクリューによって行われ、さらに両舷にある補助スクリューを活用することで、細かな姿勢の調整や上下運動を行います。潜航時にはバラストタンクに海水を入れることで沈み、逆に浮力を得るためには海水を排出します。着水時には、約700kgのショットバラスト用の鉄の玉を利用しており、上昇時には電磁栓を開けて放出します。左右のトリム調整も水銀を用いたトリムタンクで行われ、スクリューによる姿勢維持が図られています。

船内設備

耐圧殻内部には、電力供給を担う主蓄電池や、通信機器への電力供給を行うインバータが設置されています。母艦との通信にはトランスポンダや水中通話機を用いるほか、ソナーを利用して前方の障害物を探知する能力も備えています。また、CTD/DOを用いた塩分濃度、水温、水深、水中酸素濃度の測定が行える装置も搭載されています。

運用方法

しんかい2000は、長距離を自走することができず、母船「なつしま」に搭載されて潜航地点まで輸送された後、そこから吊り降ろされて潜航に入ります。このシステムは、しんかい2000、自支援母船「なつしま」、陸上基地から成り立っています。

主な調査内容

• - 海底鉱物資源調査：石油、天然ガス、マンガンノジュール、リン鉱石などの資源調査。
• - 深海生物調査：底ダラなどの未利用の深海生物資源調査。
• - 海洋構造物の調査：海底ケーブルの敷設状況の確認。
• - 海洋物理学調査：水温、塩分、流向、流速などの測定。
• - 地球物理学調査：海底地形や重力、磁力などの調査。

退役後

しんかい2000は2002年11月11日に1,411回目の潜航を終え、運行を停止しました。2004年には廃船となりますが、その技術は後の「しんかい6500」や「かいこう」に引き継がれています。退役後は海洋研究開発機構によって整理・展示が行われており、2017年には機械遺産として認定されています。

設計要目

• - 全長：9.3m
• - 幅：3.0m
• - 高さ：2.9m
• - 重量：約24t
• - 乗員数：3名（パイロット2名、研究者1名）
• - 最大潜航深度：2000メートル
• - 最大速力：3.0ノット
• - 潜航時間：7時間程度

登場作品

しんかい2000は映画『首都消失』や『日本沈没』(2006年版)に登場し、また、ゲーム『スプラトゥーン2』のダウンロードコンテンツにもその形状が参考にされています。

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