し尿処理施設

し尿処理施設について

し尿処理施設とは、屎尿や浄化槽から発生する汚泥を処理し、公共の水域へ安全に放流するための施設です。これらは廃棄物処理法に基づき一般廃棄物の処理施設として位置付けられています。日本特有の施設として、1945年以前には他国には見られませんでした。

処理の対象と方法

家庭や事業所から発生する屎尿は、バキュームカーでし尿処理施設に運ばれます。この屎尿は窒素を豊富に含んでいるため、通常の活性汚泥処理ではその除去が難しく、生物学的窒素除去法が必要とされます。このような設備が整った施設では、高濃度の有機廃液を効果的に処理できるように設計されています。

施設内での適切な処理を行うために、屎尿は濃度に応じて高濃度、中濃度、低濃度および極低濃度に分けられ、それぞれに適切な処理方式で進められます。この際、悪臭の発生を抑えるための措置が特に施されます。処理後の水は無害化されていますが、ヒトの胆汁由来の色素によって黄色から茶色に着色されることがあり、そのためオゾンによる処理を通じて透明な状態まで仕上げられます。その際、処理水には塩分が含まれるため、予め井戸水や工業用水で希釈されてから河川に放流されます。

日本におけるし尿処理

屎尿の発生量は下水道の普及とともに全国的に減少傾向にありますが、地域によっては依然として一定の量が発生しています。また、合併処理浄化槽の普及により、浄化槽から発生する余剰汚泥が増えていますが、その処理は屎尿よりも難しい場合があります。さらに、国際的な法改正（ロンドン条約の96年議定書）を受けて2007年には海洋投棄が全面禁止となり、これにより急増するストレスが懸念されています。

屈振り返る屎尿の歴史

江戸時代の日本では、屎尿が肥料として高く取引されており、資源のリサイクルが盛んでした。この傾向は明治時代においても続き、政府の規制により地方行政が屎尿の処理を担う義務を負いました。しかし、大正時代になるとコスト増などから、屎尿処理が経済的に難しくなり、次第に現代的な制度へと移行していきました。

現代の施設と処理方式

し尿処理施設の構成は、受入・貯留設備、除渣、主処理、高度処理設備、消毒設備、放流設備、汚泥処理設備などが含まれ、主処理のスタイルによって全体の設計が影響を受けます。生物学的脱窒素法が主流であり、処理の効率を上げるために各種の技術が工夫されています。特に、高負荷脱窒素処理法は水質改善に大きな効果を上げています。

施設の機能と環境への配慮

処理施設では、まず収集してきた屎尿に含まれる異物を取り除くため、受入沈砂や破砕除渣が行われます。続いて、主処理を経て消毒を施し、最終的に放流されます。悪臭や衛生上の懸念から、様々な脱臭処理が行われ、環境への配慮が求められています。これらの工程を通じて、し尿処理施設は公衆衛生の維持にも大きく貢献しています。

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