じきけん

第6号科学衛星じきけん (EXOS-B)

第6号科学衛星じきけんは、東京大学宇宙航空研究所（現在の宇宙科学研究所）によって開発されたプラズマ圏・磁気圏観測衛星です。この衛星は、日本電気によって製造され、正確な観測能力をもっている点が大きな特長です。

目的と観測範囲

じきけんの主な目的は、地球のプラズマ圏から磁気圏にかけての波動現象や、これに関連する粒子、電場、磁場の観測を行うことです。こうした観測を可能にするため、衛星は近地点高度と遠地点高度に大きな差がある楕円軌道を設計されています。また、実験的に電波や電子ビームを放射し、このプラズマに対する定量的な擾乱を与えることで、それによって励起される波動現象を観察することも目的の一つです。

この衛星は、国際磁気圏観測計画（IMS）にも参加しており、他の衛星（「うめ」「うめ2号」「きょっこう」など）と協力して、地球周辺の磁気圏の理解を深めるための重要な役割を果たしました。IMSは、地球の環境をより正確に把握するための国際的な取り組みであり、じきけんのデータは非常に貴重でした。宇宙環境のメカニズムを探る中で、これらの観測結果は多くの研究者によって解析され、新たな科学的知見を生み出しました。

打ち上げと運用

じきけんは、1978年9月16日14時00分に鹿児島宇宙空間観測所からM-3Hロケット3号機を用いて打ち上げられました。打ち上げ後の軌道は、近地点227km、遠地点30,051km、軌道傾斜角31.1°に設定されました。打ち上げから1ヶ月後には、すべての機器が正常に起動し観測体勢に入りましたが、60mの大型アンテナは展開中にトラブルに見舞われ、完全には機能しない状態となりました。それでも、観測には支障がない程度に展開され、データ収集が続けられました。

しかし、1981年にはその60mアンテナが破損してしまい、運用を終了せざるを得なくなりました。その結果、じきけんによる観測は約3年の間にわたり行われ、貴重なデータを収集することができました。じきけんの活動中には、観測されたデータが多くの論文に引用され、他の研究にも活用されました。

まとめ

じきけん（EXOS-B）は、地球のプラズマ圏と磁気圏の理解を深めるために重要な役割を果たした観測衛星であり、国際的な研究プロジェクトにも参加したことで、さらなる知見を提供しました。この衛星の成果は今後の宇宙探査や研究においても、基礎的なデータとして活用されるでしょう。

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