すいせん (フェリー・初代)

すいせんの航歴と特徴

「すいせん」は、新日本海フェリーによって運航されていたフェリーであり、数々の航海で注目を集めました。特に1996年6月11日に敦賀 - 小樽航路に就航した際には、日本最速のフェリーとして知られ、この年のシップ・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。船名は、福井県の県花であるスイセンに由来しています。これにより、すいせんはただの移動手段を超え、地域の名を冠した存在となったのです。

建造と運航の変遷

すいせんは、石川島播磨重工業の東京第1工場で、僚船「すずらん」と共に建造されました。建造後の1996年には、敦賀 - 小樽航路に投入され、迅速で快適な旅を提供しました。しかし、2002年9月に北海道側の発着地が変更され、敦賀 - 苫小牧航路に切り替えられることとなります。2012年6月30日には、2代目すいせんの就航により定期運航から引退しました。

引退後はしばらくIHI相生事業所に係船されていましたが、2019年に韓国の韓昌海運に売却され、国際航路へと再デビューする計画が立てられました。しかし、その後の運航は他の船舶によって行われ、最終的には2022年9月にバングラデシュのチッタゴンへと解体のために送られました。

船内の構造と設備

すいせんの船体は、6層構造となっており、各層に異なる機能が割り当てられています。上部から羅針儀船橋甲板、航海船橋甲板、A甲板、B甲板、C甲板、D甲板、第2甲板、タンクトップと続きます。この中で、航海船橋甲板、A甲板、B甲板は旅客や乗組員の区画を形成し、一方でC甲板、D甲板は車両を積載するために設計されています。さらにD甲板以下には機関室も配されています。

ランプウェイは配されており、各階層には十分な出入りのための設備が整っています。また、船内のインテリアデザインには「光」をテーマにしており、明るく開放感のある空間が演出されています。

客室の多様性

船内には多様な客室が用意されており、スイートルームは専用テラスが付いた贅沢な空間を提供します。また、特等ルーム、デラックスルーム、1等、2等の各種客室も揃い、多様なニーズに応じた宿泊施設が整っています。

5階にはビデオシアター、ゲームルーム、チルドレンルームなどの設備があり、レストランやカフェテリアの他、グリルも完備されています。リラクゼーションのためのジャグジーやサウナ、シャワーといった設備も無くてはならない存在でした。

事故とインシデント

2003年1月5日には、苫小牧港から敦賀港へ向かって航行中に、主機室に海水が流入するという事故が発生しました。この事故により主機が運転不能となり、漂流する事態が起きました。乗員31名と旅客456名が乗船していましたが、幸いにも人的災害は発生しませんでした。しかし、荒天の中での漂流は大きな危険を伴い、多数の救援船が派遣される事態となりました。乗組員による迅速な対応は評価されましたが、航行に必要な復旧措置には限界がありました。

総括

すいせんは、その技術力や快適な旅を提供する姿勢から、多くの人々に支持されていました。長い航海の歴史を経て、現在でも多くの人々に記憶される存在です。

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