すぅぃ〜とさいくろん-☆いぇいっ☆-

すぅぃ〜とさいくろん-☆いぇいっ☆- (すぅぃ〜とさいくろんいぇいっ)

『すぅぃ〜とさいくろん-☆いぇいっ☆-』は、日本の女性歌手KOTOKOが2022年6月22日にNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンよりリリースした、通算9作目となるオリジナル・フルアルバムである。

KOTOKOにとってオリジナルアルバムとしては、2019年に発表された『tears cyclone -醒-』以来、約3年ぶりとなるファン待望の作品となった。

アルバム概要とコンセプト

本作最大の特色は、「電波ソングアルバム」という明確なコンセプトが打ち出されている点にある。KOTOKOはそのキャリア初期から、ゲーム音楽を中心に独特の早口な歌詞やハイテンションなサウンドが特徴的な楽曲、いわゆる「電波ソング」で多くの支持を集めてきた。本作は、そんな自身のルーツとも言えるジャンルにあえて回帰し、現在の表現力で電波ソングを追求した意欲作と言える。

収録楽曲には、KOTOKOの代表的な電波ソングの一つである「さくらんぼキッス 〜爆発だも〜ん〜」を、現在のボイスとアレンジで新たに録音したセルフカバーバージョンが収められている。また、インターネットを中心にカルト的な人気を博した楽曲「巫女みこナース・愛のテーマ」のカバーバージョンも収録されており、アルバム全体の「電波ソング」というテーマを強く印象付けている。

さらに、2022年にリリースされ大きな話題となったインディーゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE』の主題歌として、Aiobahnとのコラボレーション名義で発表された「INTERNET OVERDOSE」も本アルバムに収録されている。この楽曲も、ゲームの世界観とリンクした中毒性の高いサウンドと歌詞で、リスナーに強いインパクトを与えた。

制作陣

本作の楽曲制作には、KOTOKOの音楽活動において欠かせない存在であるI'veのクリエイター陣、具体的には高瀬一矢やC.G mixが参加しており、KOTOKOサウンドの王道とも言える楽曲を提供している。加えて、電波ソングやアニソン、ゲーム音楽といったジャンルで独自の世界観を築いている音楽集団IOSYSからD.wattが参加。さらに、声優としても活躍し、秋葉原カルチャーを代表する存在である桃井はるこも楽曲制作に携わっており、バラエティ豊かで個性的なサウンドパレットを構築している。これらのクリエイター陣の参加は、アルバムが掲げる「電波ソング」というテーマに多角的なアプローチをもたらし、聴きどころを増やしている。

チャート成績

商業面では、発売初週の2022年7月4日付オリコン週間アルバムチャートにおいて、初登場29位を記録した。初動売上枚数は1,894枚であった。これは、デジタル配信やサブスクリプションが主流となる音楽市場において、特定のジャンルやファン層に向けた作品としての堅実な成績と言える。

まとめ

『すぅぃ〜とさいくろん-☆いぇいっ☆-』は、KOTOKOの初期を彷彿とさせる「電波ソング」というコンセプトを現代にアップデートして提示した作品であり、長年のファンにとっては懐かしくも新しいサウンド、新規リスナーにとってはKOTOKOの個性的な世界観に触れる入門編としても機能する。自身のキャリアのルーツを見つめ直しつつ、新しいコラボレーションも取り入れた、KOTOKOのアーティストとしての幅広さと探求心を示す一枚と言えるだろう。

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