すかんぴんウォーク

すかんぴんウォーク

1984年公開の『すかんぴんウォーク』は、吉川晃司の芸能界デビュー作として、鮮烈な印象を残したアイドル映画です。大森一樹監督による「民川裕司3部作」の第1作であり、吉川晃司演じる主人公の成長を追う物語は、後の『ユー・ガッタ・チャンス』（1985年）、『テイク・イット・イージー』（1986年）へと続きます。

あらすじ

物語は、広島から東京へやってきた民川裕司が、六本木の裏町で苦労しながらもスターへの道を歩み始める姿を描きます。水球のオリンピック候補選手だった吉川晃司が、冒頭の水泳シーンでその実力を披露し、主題歌「モニカ」で歌手デビューも飾るなど、吉川自身のサクセスストーリーとリンクする部分も多く見られます。

夢破れた若者たちが、それぞれの成功を掴んでいく姿を、彼らを取り巻く大人たちの姿と対比させながら描く、辛口のサクセスストーリーです。山田辰夫演じる貝塚吉夫は、シンガーの夢を諦め、毒舌スターとして成功を収めますが、その強烈なキャラクターは観客の心に深く刻まれ、彼の代表作の一つとなりました。

キャスト

民川裕司：吉川晃司
貝塚吉夫：山田辰夫
野沢亜美：鹿取容子
深水敬造：田中邦衛
白木隆介：蟹江敬三
矢作努：原田芳雄

脇を固める俳優陣も、個性豊かな演技で物語を彩ります。

製作の背景

渡辺プロダクションの渡辺晋社長が、新人タレント・吉川晃司を売り出すために企画されました。ATGの佐々木史朗に相談し、製作がスタート。大森一樹監督に「吉川晃司を主演にしたスター誕生映画を」と発注。タイトルは、クランクイン時の『星くずにラブソング』から、CMプランナーによる『すかんぴんウォーク』に改題されました。

音楽

音楽は、「宇宙戦艦ヤマト」で知られる宮川泰が担当。吉川晃司のデビュー曲「モニカ」は、映画の主題歌として大ヒットしました。劇中では民川裕司のデビュー曲「Thanks」として唄われます。

モニカ
作詞 - 三浦徳子 / 作曲 - NOBODY / 編曲 - 大村雅朗
真夜中のストレンジャー
作詞 - 松尾由紀夫 / 作曲 - 佐藤健 / 編曲 - 大村雅朗

評価

映画は公開当時、興行成績は振るわなかったものの、吉川晃司のスターとしての可能性を示し、その後の活躍の足がかりとなりました。若手監督9人による企画・制作会社「ディレクターズ・カンパニー」設立後、大森監督が本作を手掛けたことで、映画関係者から「ディレカンはみんなアイドル映画に走ってる」と揶揄されることもありました。

その後

長らくDVD化されていませんでしたが、2019年2月にファンクラブ限定で特別受注生産によるDVD、Blu-rayが発売されました。

『すかんぴんウォーク』は、吉川晃司の原点であり、80年代の青春映画を代表する作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

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