すぐやる一家青春記

『すぐやる一家青春記』：個性豊かな家族の奮闘と青春の輝き

1977年、TBS系列で全国ネット放送されたテレビドラマ『すぐやる一家青春記』。主演はベテラン俳優の小林桂樹、そして当時若手だった夏目雅子にとって連続ドラマ初出演作品という記念碑的な作品でもあります。全15話という比較的短いシリーズながら、視聴者の心を捉え、今もなお語り継がれる名作として高い評価を得ています。

舞台は東京都下の架空の都市・新多摩市。物語の中心となるのは、市役所の「すぐやる課」課長を務める相馬雄作を中心とした5人家族です。相馬家は、雄作と長男・一郎、次男・瞳、三男・智之、そして居候の倉田武志という男性5人だけで構成される、ちょっと変わった家族です。

そんな相馬家に、大きな変化が訪れます。一郎が勤める「お世話課」を通して、美人ヘルパーの宮田紀子が一家と関わるようになり、それによって家族の中に活気が満ち溢れ、様々な騒動が巻き起こります。紀子を巡る家族間のやり取りや、それぞれの思惑、そして時にぶつかり合う価値観などが、ユーモラスかつ繊細に描かれています。

このドラマは、単なるホームドラマの枠を超え、家族の絆、そして青春の瑞々しさ、社会における人間模様を多角的に描いています。男性ばかりの家庭というユニークな設定に加え、それぞれの登場人物が抱える悩みや葛藤、そしてそれらを通して成長していく姿が、視聴者の共感を呼びました。

個性豊かな登場人物にも注目です。頼れる父親像である雄作を小林桂樹が、魅力的なヘルパー・紀子を夏目雅子が好演。その他にも、秋野太作、小倉一郎、高岡健二といった実力派俳優陣が脇を固め、物語に深みを与えています。子役として出演した中嶋朋子や吉田友紀も、それぞれの役どころで存在感を示しています。

脚本は窪田篤人、音楽は木下忠司が担当。木下惠介が企画を手掛けたことからも、その高いクオリティが伺えます。毎週火曜夜8時からの放送は、多くの視聴者の生活に彩りを添え、家族団らんのひとときを演出しました。

『すぐやる一家青春記』は、単なる笑いと涙の物語ではありません。時代を超えて愛される普遍的なテーマと、魅力的なキャラクター、そして豪華なキャスト陣によって彩られた、まさに名作中の名作と言えるでしょう。当時を知る世代にとっては懐かしのドラマとして、若い世代にとっては新鮮な発見となる作品です。

主な登場人物

相馬雄作 (小林桂樹): 新多摩市役所「すぐやる課」課長。家族のまとめ役。
宮田紀子 (夏目雅子): 美人ヘルパー。相馬家に大きな変化をもたらす存在。
相馬一郎 (秋野太作): 雄作の長男。「お世話課」勤務。
倉田武志 (小倉一郎): 相馬家に居候する青年。
相馬瞳 (高岡健二): 雄作の次男。
相馬智之 (吉田友紀): 雄作の三男。
西沢福太郎 (坂上二郎): トラック運転手。
西沢千代 (草笛光子): 福太郎の妻。
相馬儀平 (花沢徳衛): 雄作の父。

スタッフ

企画：木下惠介
脚本：窪田篤人
音楽：木下忠司
* 主題歌：秋野太作

このドラマは、千葉県松戸市にあった実在の「すぐやる課」をヒントに制作されました。その独特の雰囲気と、家族の温かさ、そして何よりも人間味あふれる物語は、現代社会においても色褪せることなく、私たちの心に深く響くでしょう。

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