せとうちSEAPLANES

せとうちSEAPLANES（株式会社浦崎）

せとうちSEAPLANESは、かつて広島県尾道市に本拠を置いていた航空運送事業者です。常石グループ傘下のせとうちホールディングスの子会社として、水陸両用機を使用した遊覧飛行を中心に事業を展開していました。航空事業者略号は「SSN」でした。

概要

2011年に設立されたせとうちホールディングスは、新規事業の一環として水陸両用機の販売・整備事業に着目し、2014年にせとうちSEAPLANESを設立しました。翌年には、アメリカの航空機メーカー、クエスト・エアクラフト社を子会社化し、同社製の単発ターボプロップ機「クエスト コディアック」をアジア地域で販売するとともに、尾道を拠点とした事業展開を計画しました。

2016年には、国土交通省大阪航空局から航空運送事業と航空機使用事業の許可を取得し、尾道市のベラビスタ境ガ浜に水上機専用施設「オノミチフローティングポート」を開設。しまなみ海道周辺の遊覧飛行コース「せとうちディスカバリーフライト」を開始しました。その後、宮島や直島など瀬戸内海の島々を巡るコースや、琵琶湖での遊覧飛行も計画されました。

日本国内で水陸両用機による営業運航が行われるのは約50年ぶりのことでした。定期遊覧飛行のほか、チャーター便、宣伝媒体としての利用、フライトスクールなども計画されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2021年1月30日をもって営業を休止しました。

当初はスポンサーを探して事業再開を目指しましたが、保有機材は2021年5月までに全機抹消されました。2022年5月には社名を「株式会社浦崎」に変更し、本社を東京都港区に移転。同年7月1日に解散し、9月8日に清算を結了しました。

遊覧飛行

「せとうちディスカバリーフライト」は、オノミチフローティングポートを出発し、尾道水道、因島、生口島、多々羅大橋などを経由して帰還する約50分のコースでした。全席予約制で、最大6名まで搭乗可能でした。

定期便としては、しまなみ海道を巡る「せとうちディスカバリーフライト(しまなみコース)」、鞆の浦を巡る「せとうちディスカバリーフライト(鞆の浦・尾道コース)」、島根県の宍道湖・中海を巡る「しまねジオフライト」、広島空港発着で離着水体験もできる「広島エアポートフライト(しまなみ＆離着水体験コース)」などが運航されていました。

また、広島空港とオノミチフローティングポートを結ぶ片道便もありました。この便は遊覧目的ではなく、移動手段としての利用を想定したものでした。

その他、チャーター便も設定されており、小豆島、高松空港、関西国際空港などへの発着が可能でした。広島県呉市上空の遊覧飛行も行われました。

機材

保有機材は、クエスト・エアクラフト社製の「コディアック100」に、Aerocet社製のフロートを装着した水陸両用機でした。最大10名が搭乗可能で、巡航速度は約300km/h、航続距離は500kmから1,000kmでした。

2017年には、スタジオジブリの宮崎駿氏が機体デザインを、鈴木敏夫氏が社名ロゴを監修した特別塗装機「ラーラ ロッサ(L'ala Rossa)」を導入しました。

その他

せとうちSEAPLANESは、ふるさと納税の返礼品としてフライトコースを提供していました。また、オノミチフローティングポートでは、軽食や飲み物が楽しめるラウンジや、オリジナルグッズを販売するショップがありました。

2017年には、日本赤十字社広島県支部と災害時の救護活動に関する協定を締結し、地域貢献にも取り組みました。

2018年には、「せとうちディスカバリーフライト」が日経優秀製品・サービス賞 優秀賞 日経産業新聞賞を受賞しました。

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