せり込み蝶六

せり込み蝶六について

概要

せり込み蝶六（せりこみちょうろく）は、富山県魚津市で代々受け継がれてきた民謡で、地域の文化の一部として親しまれています。この民謡は、毎年8月初旬に開催される「じゃんとこい魚津まつり」の最終日に行われる「せり込み蝶六街流し」で歌われ、踊られます。

歴史

この民謡の起源は、浄土真宗の仏教口説きにあります。江戸時代には、越後国の瞽女唄（ごぜうた）の影響を受け、変化していったとされています。もともとはお盆に寺や神社で祖先のために踊り、豊作を祈る行事が関係しています。また、1946年にはせり込み蝶六保存会が設立され、同年、富山県民謡大会にも出場しました。名づけ親は民謡研究家の町田嘉章さんで、この年に「せり込み蝶六」という名前が定まりました。その後、魚津市の無形民俗文化財にも指定されています。

「せり込み蝶六」という名前自体には意味があります。「せり込み」は「口速や」を指し、「蝶六」は「ちょろける」という不安定な状態を表しているともいわれていますが、具体的な由来は不明です。

音楽と演奏

この民謡には、いくつかの種類の唄（音頭）が存在します。「正調舞台音頭（魚津四季）」「本唄古代神」「二十八日口徳（歓喜嘆）」、そして「口説き節」などが含まれており、特に「じゃんとこーい、じゃんとこーい」といった囃子が特徴的です。演奏には三味線、胡弓、太鼓、鉦（かね）などが使われており、その独特なリズムが民謡を一層引き立てています。2012年には新曲も披露され、魚津の四季を歌った内容が加わりました。

踊りのスタイル

せり込み蝶六では多種多様な踊りが行われています。代表的なものには、両手に扇子を持ち、激しいリズムに合わせて舞う扇子踊りがあります。その他にも、提灯や傘を使った踊り、花笠を用いたもの、さらには古いスタイルの踊りなど、様々な形で地域の人々によって踊られています。ただし、たすき踊りや刀踊り、不使用の姿見踊りといったスタイルは現在では見られなくなっています。

地域のお祭り

「せり込み蝶六」を用いたお祭りは、主に「じゃんとこい魚津まつり」と「よっしゃ来い!!CHOUROKUまつり」があります。「じゃんとこい魚津まつり」は、毎年8月の第1金曜日から3日間にわたって開催され、大勢の地元住民や企業が参加します。そして、約3000人のグループが生演奏に合わせて約3時間踊り流します。このお祭りは2006年に「とやまの文化財百選」にも選定されています。

一方、「よっしゃ来い!!CHOUROKUまつり」は、2013年から始まり、毎年5月に開催されるイベントです。この祭りでは、伝統的なせり込み蝶六の音楽を基にしたアレンジ曲で踊る参加者が集まります。さまざまな関連イベントも行われ、地域の活性化にも寄与しています。

その他の活動

魚津市内のあいの風とやま鉄道では、「せり込み蝶六」にちなんだ到着メロディも作成され、地域の文化がより広く知られる手助けをしています。全国から募集した作品から選ばれたメロディも、地域の魅力の一環として評価されています。

まとめ

せり込み蝶六は、ただの民謡ではなく、地域のアイデンティティや文化伝承の象徴的存在となっていることがわかります。毎年の祭りやイベントを通じて、地元の人々と観光客との絆を深め、富山県の文化を広める重要な役割を果たしています。

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