それいけAM!AM!こちら下荒子8番地

『それいけAM!AM!こちら下荒子8番地（それゆけあむあむこちらしもあらこはちばんち）』は、福島県のラジオ局、ラジオ福島で1986年 6月から1991年4月にかけて深夜帯に放送されていたラジオ番組です。番組名の「下荒子8番地」は、当時のラジオ福島本社スタジオの所在地を示す地名がそのまま採用されたものでした。オープニングテーマには、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの有名な楽曲、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』が用いられていました。

番組の歴史と概要

この番組は、1986年 6月にそれまで放送されていた深夜番組『ミュージックストリート夜はこれから』の後を受けてスタートしました。1971年から長きにわたり続いてきたラジオ福島自社製作による平日深夜の帯番組シリーズの中で、最後に放送された番組としても記憶されています。番組の企画・構成は、各曜日の担当アナウンサーや出演者に委ねられ、それぞれが独自のカラーを打ち出した内容で進行されていました。番組が終了したのは1991年4月。これは、当時午前5時台に放送されていた『大学受験ラジオ講座』が、放送時間の変更に伴い24時から25時の深夜帯へ移動してきた影響を受けたことによるものでした。

放送時間

番組の放送時間は、期間中に一度変更されています。番組開始当初の1989年12月までは、毎週月曜日から金曜日の24時15分から25時00分までの枠で放送されていました。しかし、1990年1月からは放送時間が繰り上げられ、月曜日から金曜日まで24時00分から25時00分までの1時間番組となりました。

主な出演者

番組開始時には、月曜日を八塚浩と小野寺裕子、火曜日を大和田新と大橋雄守、水曜日を菅原美智子と菅野光雄、木曜日を荒川守とエディー・オースチン、金曜日を林京子と熊坂セイ子が担当していました。その後も担当者の入れ替わりが多く、倉敷保雄、吉田暁央、東海林忠樹、酒見由梨、小林千鶴、森五十鈴、鈴木敏弘、槻ノ木沢知代、鈴木竜弘といったアナウンサーやタレントが番組を彩りました。特に大和田新と大橋雄守は、火曜日担当から水曜日担当へと変更がありながらも、番組終了まで出演を続けました。

特徴的なコーナー

『それいけAM!AM!こちら下荒子8番地』では、各パーソナリティの個性が光る多彩なコーナーが展開されました。

倉敷保雄担当回: 特にバラエティに富んだ企画が多くありました。レコード店店長のブーミン三浦が小錦のマスクを被って各地に出没し人々の反応を観察する「小錦は見ていた」。レコード店主任のナベちゃんが体を張って様々な物理実験を行う「小学校2年生の理科」では、ソウルオリンピックのドーピング問題に際し「どうすれば速く走れるか」を検証しサロンパスを塗って走るという珍妙な結果を出したことも。イベンターのリッキー関口がリスナーからの体力課題に挑む「すべての道はバルセロナに通じているか」など、型破りな企画が満載でした。この他、「子分のコーナー」や「ロックンロール川柳」といった投稿企画も人気を集めました。
吉田暁央担当回: リスナーから寄せられた「こんな人がいたら面白い」「こんな人がいたら怖い」といったアイデアを紹介する「こんなのいたらおもしろい・こんなのいたらこわい」といったコーナーがありました。
酒見由梨担当回: リスナーからポエムを募集・紹介する「ポエムコーナー」は、番組終了後、寄せられた約100編が酒見自身の手書き編集とリスナーのイラストで冊子化され、希望者に郵送されるという形でリスナーとの絆を感じさせる企画となりました。
鈴木敏弘担当回: 女性の台詞に合わせて男性の台詞をリスナーから募集する「MIDNIGHT TALK! 男と女のあやしげ会話」では、当時のラジオ福島アナウンサーである佐竹由美子と土屋志保が女性役を務め、時に際どい内容も含まれました。他にも「有線ベストテン」や、電話を通じて顔の見えないリスナー同士が出会いカップル誕生を目指す「チェックポイントラジオDEデート」といった企画がありました。「チェックポイントラジオDEデート」は、テレビ番組『パンチDEデート』のラジオ版とも称され、注目を集めました。
* 鈴木竜弘担当回: 録音機材を携え、リスナーの困り事を解決すべく外へ繰り出す「どっこい竜之助」といった、リスナー参加型の屋外企画が特徴でした。他にもプロ野球を取り上げる「プロ野球暴れん坊将軍」や、珍しいレコードを紹介する「珍版奇盤」、投稿コーナーの「ラジオ名人街」「金曜スパーク」「慎んでお詫び申し上げます」「赤点供養」など、多岐にわたるジャンルのコーナーを展開しました。

これらの多種多様な企画は、各曜日のパーソナリティが独自の裁量で番組を作り上げていたことを示しています。リスナーとの距離が近く、深夜ならではの自由で実験的な試みが多数行われた番組として、当時のリスナーの記憶に残っています。長年続いたラジオ福島の自社製作深夜番組の歴史を締めくくる番組として、その役割を果たしました。

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