たぁ〜た〜ず

たぁ〜た〜ず (父2)

石川県を主な活動拠点としていた男性ボーカルデュオ、「たぁ〜た〜ず」。正式な書き方としては『父2』が用いられます。ユニット名の「たーたー」は、金沢弁で「お父さん」や「オヤジ」を意味する言葉に由来しており、親しみやすい響きを持っています。

結成までの道のり

メンバーは嶌村義隆氏（愛称：シマちゃん、1950年6月3日生）と吉川幸典氏（愛称：ユキ坊、1953年6月25日生）の二人です。デュオ結成以前、両氏はそれぞれ様々なカラオケ大会や歌唱コンテストで優秀な成績を収めるなど、アマチュアとして高い実力を持っていました。しかし、嶌村氏が演歌を志向していたのに対し、吉川氏はフォークソング、特に松山千春氏の大ファンであるなど、音楽的な趣味や方向性は異なっており、共に活動する機会はありませんでした。二人がコンビを組むきっかけとなったのは、BS2の番組企画である「おーい!ニッポン・石川県の歌」のオーディションです。ここで二人の歌声を聴いたプロデューサーの秋元康氏の勧めにより、デュオを結成することになります。彼らの持ち味は、互いの声が溶け合うような息の合ったユニゾンでした。

デュオとしての活動期

たぁ〜たぁ〜ずは、秋元康氏のプロデュースにより、2002年4月24日にシングル「香林坊節」で日本クラウンからデビューしました。この曲は、同年5月5日に放送された「おーい、ニッポン・今日はとことん石川県」の中で、石川県のイメージソングとして発表されたものです。デビュー当時のキャッチフレーズは、秋元康氏が命名したという「おじさんのKinKi Kids」でした。これは、若者から絶大な支持を得ていた人気デュオになぞらえ、大人の魅力を持つ二人の活動を象徴するものとして使われたようです。2003年には、日本歌手協会のオーディションに合格し、同協会の会員となりました。

ディスコグラフィー

主なリリースシングルは以下の通りです。

香林坊節 (2002年4月24日リリース、日本クラウン)
作詞：秋元康、作曲：後藤次利。団塊の世代を迎えようとしていたサラリーマンの視点から、これまでの人生を振り返り、後輩たちへの思いなどを歌った楽曲です。石川県の代表的な繁華街である香林坊の名を冠していますが、シングルジャケットに使用されている写真は、車で約10分ほどの距離にある風情あるひがし茶屋街で撮影されたものです。

かまくら逍遥 (2005年1月13日リリース、キングレコード)
この楽曲は、彼らがレギュラー出演していたMROラジオの番組「父2の今日も元気!」のエンディングテーマとして使用されました。

翔け世界の頂点へ〜松井秀喜応援歌〜 (2006年9月27日リリース、テイチクレコード)
石川県出身でメジャーリーグでも活躍したプロ野球選手、松井秀喜氏を応援するために作られた楽曲です。2007年には英語版も制作されました。

ラジオ番組での活躍

地元石川県のラジオ局を中心に、複数の番組でパーソナリティを務めていました。

MROラジオ『父2の今日も元気!』
毎週月曜日の夜に放送されていたレギュラー番組です。番組は、メンバーの近況報告や、毎週設定されるテーマトークを中心に構成されていました。テーマトークでは、まずテーマに沿った楽曲がジャンルを問わず流れ、その曲の世界観に乗せてトークを展開。番組の締めくくりには、決まって「たぁ〜たぁ〜ず」自身の楽曲が流れるのが恒例となっており、特に「翔け世界の頂点へ」がよく使われました。ゲストには石川県内で活動するローカルな歌手が登場することが多かったですが、稀に電話を通じて全国的に活躍する歌手が出演することもありました。

ラジオななお『父2の笑タイム』
FMラジオななおでもレギュラー番組を持っており、リスナーに親しまれていました。

解散、そしてそれぞれの道へ

たぁ〜たぁ〜ずは、音楽性の違いなどが理由となり、2009年3月をもって解散しました。デュオとしての活動は幕を閉じましたが、メンバーはそれぞれ音楽活動やメディア出演を続けています。

嶌村義隆氏
解散後も歌い手として活動しており、特に台湾の治水に貢献した故郷の偉人、八田與一氏を称える楽曲「嗚呼!フォルモサ ダムの父」を歌っています。また、地元ラジオ局でのレギュラー出演も継続しており、北陸放送ラジオの「シマちゃんのつるつるいっぱい」、ラジオななおの「嶌ちゃんの聞きまっしま笑いまっしま」で精力的に活動しています。

* 吉川幸典氏
「たぁ〜たぁ〜ず」結成以前には、東芝EMIからソロ歌手としてデビューした経験があります。解散後は、歌謡教室を運営し、後進の指導にあたる傍ら、自身の癌との闘病経験を乗り越え、石川県内の病院などでチャリティーコンサートを開催するなど、社会貢献活動にも力を入れています。

「たぁ〜たぁ〜ず」は、地元石川県の言葉を冠し、地域に根ざした活動を展開したユニークなデュオとして、多くのリスナーに記憶されています。

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