たいげい型潜水艦

たいげい型潜水艦

たいげい型潜水艦（英：Taigei-class submarine）は、海上自衛隊の通常動力型潜水艦の一種です。この艦級は、先行するそうりゅう型潜水艦の改良版として、リチウムイオン蓄電池を搭載することにより、性能を向上させることを目的としています。平成29年度計画から建造が開始され、初の艦となる「たいげい」の建造費は約800億円とされています。

歴史と開発経緯

海上自衛隊の潜水艦ビジョンは、平成16年度の予算から始まった新たな2,900トン型（そうりゅう型）に基づいています。この艦型は、これまでの2,700トン型（おやしお型）を越える性能を追求しました。その特筆すべき点は、非大気依存推進（AIP）システムの導入です。この技術により、シュノーケルを使用せずに長期間潜航可能となり、電力の消費を抑えることができました。

また、平成9年度から技術研究本部はリチウムイオン蓄電池の開発に着手し、従来の鉛蓄電池に比べて高いエネルギー密度と低いため、導入が期待されました。リチウムイオン蓄電池は、そうりゅう型の11番艦「おうりゅう」から実装されることとなります。この流れに沿ったさらなる新技術が導入され、たいげい型の設計が進められました。

設計と特徴

たいげい型は、27SSを基に最大3,000トン型へとサイズアップし、リチウムイオン蓄電池を最適化して搭載することができる設計になっています。特に船体構造に関しては、浮架台の採用により音の低減となり、韓国や中国など多くの国の潜水艦で採用されているトレンドを取り入れています。

また、新たに女性自衛官のための居住空間を確保したことで、潜水艦における性別の多様性にも配慮されています。さらに、静粛性を高めるための研究開発も行われ、様々な駆動装置から生じる音を低減する技術が導入されています。

エネルギーシステム

艦の基本設計は、そうりゅう型と同様ですが、リチウムイオン蓄電池をフル活用するための新たなスノーケル発電システムが開発されました。このシステムは、高出力の継続的な充電を支えるものです。また、従来型のディーゼルエンジンを改良し、より効率的な電力供給が可能となっています。

装備と武装

たいげい型潜水艦には、新型の高性能ソナーシステムが装備されており、その探知能力は従来型を大きく上回ります。このシステムの開発には光ファイバー技術が用いられ、様々な方向からの信号を効果的に処理できるよう構成されています。また、艦首部分には最新の魚雷発射管が配置され、18式魚雷を使用できるほか、潜水艦からの対艦ミサイルも搭載可能です。

運用と試験

ネームシップ「たいげい」は、2020年に進水式を迎え、防衛計画の中心的役割を果たす試験潜水艦としての役目も担うことが決まりました。現在、実運用が行われており、他の艦艇の稼働率向上にも貢献しています。続く艦の命名式も行われており、それぞれにユニークな名前が付けられています。

本型はこれからも改良が進む予定であり、さらなる技術革新が期待されています。

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