たいむ6

番組概要

朝日放送テレビ（ABC）が1977年 10月3日から1987年 10月16日まで、平日の夕方に放送していた関西ローカルのワイドニュース番組。全2623回放送された10年間の長寿番組であり、後継番組「NEWSゆうシリーズ」が登場するまでは、ABCのローカルニュース番組としては最長の放送期間を誇った。

番組開始の背景

放送開始の契機は、毎日放送の『MBSナウ』に続く関西で2番目のローカルワイドニュース番組として位置づけられたことにある。それまで18時台前半にお笑い番組が編成されていた時間帯を、報道番組枠へと変更してスタートした。これにより、同時間帯に放送されていた『朝日フラッシュニュース』と『ABCフラッシュニュース』は番組内に統合される形となった。

歴代キャスター

初代メインキャスターは、当時ABCの解説委員を務めていた日下部吉彦（後に音楽評論家としても知られる）が担当。1985年10月からは、アナウンサーの村田好夫が後任を務めた。女性アシスタントには東野正子、永井由起子、伏見昌子、黒崎京子、鳥居睦子らが、男性アシスタントには金木賢一、村井守らが名を連ねた（男性アシスタントは日下部降板後に廃止）。番組冒頭では、各キャスターが視聴者への挨拶から始めていた。

番組構成と特徴

番組では、関西地方のその日の出来事を伝えるローカルニュースや天気予報に加え、視聴者の関心に応えるような柔らかい話題も積極的に取り上げた。キャスターはスタジオでの進行だけでなく、現場に出向いて取材や体験レポートを行うフィールドキャスター的な役割も担った。単にニュースを伝えるだけでなく、それまでの堅い報道番組のイメージを払拭し、ニュースをより分かりやすく伝えるための工夫が随所に凝らされていた。シリーズ企画として、関西に暮らす地方出身者を紹介する「ふるさとは今」や、学校の給食風景を取り上げる「給食拝見」なども放送され、人気を博した。

画期的な技術導入

『たいむ6』は、テレビの報道番組において、出演者の背後に合成映像を表示する「クロマキー」技術を日本で初めて本格的に採用した番組として知られる。スタジオに緑色のスクリーンを設置し、そこにCGや資料映像を合成することで、視覚的に分かりやすいニュース解説を実現した。初期のスタジオセットでは、メインキャスター席の背後のブラインドが開閉する演出もあり、その奥にクロマキー用スクリーンが設けられていた。

オープニング映像の変遷

オープニングは放送時期によって変化が見られた。
初期: 18時を告げる鐘の音と共に、大阪マルビル屋上の電光ニュースが「6時ですたいむ6 朝日放送テレビ」と表示する様子を映し出すことから始まった。キダ・タロー作曲のテーマ曲に乗り、大阪市内の望遠映像やその日のヘッドライン、特徴的なデザインのタイトルロゴ（時計の針を模した「6」）が表示された。スタジオ転換後、キャスター席後方のブラインドが開いて夕景が見える演出があった。
中期: シンセサイザーによる新たな鐘の音とテーマ曲に変更された。タイトルロゴのアニメーションが加わったものの、基本的な構成は初期を踏襲した。
末期: ヘッドラインニュースが先に流れ、その後にスタジオへ切り替わる構成に変更された。全国ニュース枠（『ANNニュースレーダー』）を内包する形式になったため、タイトルロゴも「たいむ6 ANN」と表記されるようになった。クロマキー用スクリーンは廃止され、より一般的なニューススタジオセットに変更された。

放送時間枠の拡大と内容変更

当初18:00から18:30までの30分番組だったが、1983年 4月4日からは全国ニュース『ANNニュースレーダー』の開始時刻が18:25に変更されたことに伴い、これをフロート番組として内包する形で18:00から18:52までの52分番組に拡大した。天気予報コーナーも番組内に組み込まれ、予報士による詳細な解説が行われるようになった。1986年9月29日には全国ニュースが18時開始となり、番組構成がさらに変更された。ヘッドライン、ローカルニュースの一部、全国ニュース、そして関西のニュース本編という流れになり、天気予報に季節の話題を加えた「天気&トピックス」コーナーが新設された。

報道取材中の事故とその影響

番組放送期間中、朝日放送テレビは報道取材に使用していたヘリコプターに関わる痛ましい事故に二度見舞われた。
1981年12月: 滋賀県での空撮取材を終え帰還中のヘリコプターが琵琶湖に水没。搭乗していたカメラマン、機長、整備士の3名全員が死亡した。奇跡的に回収されたカメラマンの撮影テープには、水没直前までヘリ内部の様子が記録されており、これが事故後、『たいむ6』のトップニュースとして放送された。
* 1984年7月: 兵庫県明石市で発生した銀行強盗事件の取材中に、朝日放送のヘリが毎日放送のヘリと接触し墜落。この事故でもカメラマン、機長、整備士の3名が犠牲となった。迅速な現場到着に有利なヘリコプター取材は当時多用されていたが、この事故を受けて「僅かな金額の強盗事件にヘリを飛ばす必要があったのか」といった批判の声が上がり、朝日放送はヘリコター取材体制の大幅な見直しを迫られた。約10ヶ月をかけて「航空取材の手引書」が作成された一方、社内カメラマンの間にはチャーター会社への搭乗拒否といった事態も発生。最終的に、1985年3月をもって従来の契約が解消され、新たな契約を結ぶに至った。

番組の終了

1987年10月19日、全国ニュース枠が19時台へ移動することに伴い、朝日放送の夕方ローカルニュース枠も改編された。『たいむ6』は、その役割を後番組である『NEWS WAVE ABC』に引き継ぎ、10年間の歴史に幕を閉じた。

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