たかとり型巡視船

たかとり型巡視船について

たかとり型巡視船（英語: Takatori-class patrol vessel）は、海上保安庁に所属する巡視船であり、PM型に分類される特350トン型の船舶です。本型は、海上での災害対応力を強化するために設計されており、特に消防能力や曳航能力を重点的に向上させたことが特徴です。

来歴

1960年代の中頃、海上保安庁では原油の輸入量が急増し、大型の石油タンカーが増加することに伴い、海上災害のリスクが高まっていました。このため、海上保安庁は1970年代にひりゆう型消防船を5隻整備する計画を立てました。しかし、1974年に発生した第十雄洋丸事件において、当時の消防船がその任務を十分に遂行できないことが明らかになり、巡視船や消防船の協力の下、民間のタグボートが対応せざるを得ませんでした。この出来事を受け、さらなる海上防災能力の向上が求められ、結果的にたかとり型巡視船が設計・建造されることとなりました。

設計

たかとり型は、従来の巡視船に加え、消防や曳航に向けた能力を強化しています。船体は幅広に設計されており、作業スペースや居住スペースを確保するために長船首楼形状が採用されています。この船型は、海上保安庁にとって初めての試みであり、民間の航洋曳船を参考にして設計されました。

主機関は、350トン型PMと同様に新潟6M31EXディーゼルエンジンを2基搭載し、単機出力は1,500馬力です。これにより、両舷の軸機が駆動され、高い機動性を確保しています。また、推進器には可変ピッチのプロペラが使用されており、操縦においても利便性が高まっています。

装備

消防設備としては、以下のような優れた装備が備わっています：

• - 泡沫放水銃（毎分3,000リットル）×2基
• - 粉末放射銃（毎秒35キログラム）×1基：粉末消火剤は最大2トンを搭載
• - 自衛噴霧ノズル

これらの装備は、特にタンカー火災への対応を考慮しており、オイルフェンスの展張設備も備えています。また、油回収装置の運用能力も後に付与されました。

さらに、大型タンカーの曳航に対応するため、船尾には30トンの曳航フックとウインチが装備されています。船首にも15トンの曳航ビットが備えられ、後進曳航も可能にする設計が施されています。すべての曳航ウインチやオイルフェンス揚収装置は防爆構造となっています。

加えて、災害時には総合指揮船としての機能を果たすために、船橋の後部にはOIC室が設けられています。

同型船

たかとり型巡視船は、同型の他の艦艇とも同様に高度な海上防災能力を発揮します。

登場作品

この巡視船は、テレビドラマ『海猿 UMIZARU EVOLUTION』の第1話と第2話に登場します。物語内では、三浦半島沖で発生したタンカーの座礁事故に対応し、海上での消火活動を行う姿が描かれています。

このように、たかとり型巡視船は、海上保安庁の活動において重要な役割を果たしており、その設計や装備は現代の海上安全に貢献しています。

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