たまきはる

たまきはる（たまきわる）

概要

『たまきはる』は鎌倉時代初期に成立した女流の日記文学で、著者は健御前（建春門院中納言）とされています。この作品は冒頭の和歌から名付けられ、正式な原題はありませんが、著者名に基づき『建春門院中納言日記』や『健御前日記』としても知られています。また、この作品は単なる日記ではなく、著者が60歳頃に老後を振り返りながら記した回想録です。それゆえ、内容は平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての出来事が反映されていますが、大部分は著者が平安時代に仕えた建春門院に関する recollection です。

書籍の伝承

興味深い点は、この書籍の写本が非常に限られている点で、長い間その存在が知られていませんでした。現在残る唯一の写本は金沢文庫に所蔵されているもので、その内容には複数の注釈が加えられています。成立過程については詳細が不明な部分が多く、九州の久留米藩を経て有馬家に伝わったとされています。1933年には美術品として認定され、1936年には旧国宝に指定されました。1950年には文化財保護法施行に伴い、重要文化財としても指定されています。この書籍は、第二次世界大戦の最中に金沢文庫に寄託され、1999年には同文庫に寄贈されています。

内容の構成

この作品は、健御前の語りを養女の禅尼が筆記し、健御前自身がそれをまとめたものが主体です。その後、健御前が採用しなかった一部が、弟の藤原定家によってまとめられました。このようにして、作品は二部から構成されます。第一部は本編で、内容は序、建春門院の御所時代、八条院の御所時代や春華門院の思い出などを含みます。第二部は定家によってまとめられた遺文や付編です。

特徴

『たまきはる』が書かれた理由は、華やかな平安時代の御所生活を知らない若い女性たちから当時の話を求められることが多かったためだと、序段に記されています。それに従い、女性の名や宮廷の行事、平安時代の衣装について詳細に描写されています。これにより、読者はただの文学作品にとどまらず、当時の宮廷文化や生活を垣間見ることができるのです。

参考文献・関連項目

• - 『とはずがたり　たまきはる』三角洋一・校注、岩波書店刊（新・日本古典文学大系50）1994年
• - 津本信博編『たまきはる 限定版』早稲田大学出版部刊 1993年
• - 金沢文庫本「たまきはる」資料について 1999年

また、関連する重要な人物として、建春門院、八条院、春華門院があります。

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