だいち3号

だいち3号（ALOS-3）について

だいち3号、正式には陸域観測技術衛星3号（ALOS-3）は、宇宙航空研究開発機構（JAXA）によって開発された、先進的な地球観測衛星です。この衛星は、地図作成や地域観測、災害時の状況把握、資源調査など、多様な用途に貢献することを目的としています。

開発経緯

だいち3号は、前身のだいちおよびだいち2号に続く形で設計され、初めは2016年度にH-IIAロケットによる打ち上げが予定されていました。しかし、計画の途中でいくつかの仕様変更が行われ、最終的には、2023年3月7日にH3ロケット試験1号機によって打ち上げられました。しかし、ロケットの2段目エンジンの点火に失敗し、衛星は地上に帰還することなく消失してしまったため、打ち上げは失敗に終わりました。

概要と性能

だいち3号は、従来の地球観測衛星では得られない高分解能と広域観測の両立を目指して設計されました。具体的には、分解能80cmを実現し、観測幅は70km、地球を1周する際に最大で4,000km分を連続撮像することが可能です。この能力により、だいち3号は、他の高分解能地球観測衛星の性能を大きく上回り、より広範囲のデータを短時間で取得できるメリットが期待されています。

設計寿命は7年とされ、エクストラサクセスとして10年の使用が見込まれています。また、だいち2号や先進レーダ衛星、光データ中継衛星と連携し、総合的な地球観測の効果を最大化する運用が企画されています。パンクロマチックセンサーの分解能は80cm、マルチセンサーは3.2m、連続撮像可能時間は10分となっており、データの直接伝送が可能な通信能力も備えています。

旧計画と技術の進化

だいち3号に関する初期計画では、経済産業省の支援を受けたマルチスペクトルセンサーとハイパースペクトルセンサーが搭載される予定でした。これにより、地表のさまざまな属性を詳細に観測し、鉱物資源探査やバイオマス観測などが可能になると考えられていました。しかし、この旧計画は後に放棄され、ハイパースペクトルセンサーは「HISUI」として単独で開発され、国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられました。HISUIは、酸素や水分、無機成分の分布など多様なデータを取得する能力があります。

結論

だいち3号の開発は、地球観測技術の進化を象徴するものです。その高い性能や多様な用途は、地球環境の理解や資源管理、災害対応などにおいて重要な役割を果たすことが期待されています。また、JAXAは、今後の打ち上げ計画やその成功に向けてさらなる努力を続けることでしょう。

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