だだちゃ豆

だだちゃ豆について

概要

だだちゃ豆（だだちゃまめ）は枝豆用の大豆の系統で、山形県庄内地方の伝統的な特産品として知られています。江戸時代に越後地方から移植された遺伝子を基に、特に選抜され育成された品種が現在のだだちゃ豆です。栽培環境によって風味が大きく変わるため、生産地域が限定され、「幻の豆」とも称されています。

特徴

だだちゃ豆のさやは茶色で、くびれが深く、外見は必ずしも美しいとは言えません。しかし、その甘味と個性的な香りは多くの人に愛されています。通常、小粒の状態で収穫され、茹で時間も短いのが特長です。

また、近年の輸送技術の向上により、地元以外でもだだちゃ豆を手に入れることが容易になりました。飲食店や通信販売を通じて、全国的にその名が知られるようになっています。

特殊な品種があり、主なものには「甘露」「早生甘露」「晩生甘露」「小真木」「白山」「早生白山」「平田」「尾浦」があります。中でも特に人気なのが「白山」で、その味わいは支持を集めています。

歴史

だだちゃ豆の誕生は明治後期に遡ります。当時、大泉村の士族森屋藤十郎の娘が、隣村から譲り受けた早生種の茶豆を栽培したことが始まりとされています。この豆の中に出会った晩生で美味な豆が、現在のだだちゃ豆の原型である「藤十郎だだちゃ」に繋がっていきました。これらの歴史は、地域の農業的誇りともいえる存在です。

名称の由来

「だだちゃ」という言葉は、庄内地方の方言で「お父さん」を意味します。この名称の由来にはいくつかの説があり、江戸時代に庄内藩の殿様が献上された枝豆に対して、作り手を尋ねたことがきっかけと言われています。また、家長に最初に食べることを許される豆であることからも、名付けられたとも考えられています。

商標登録

「だだちゃ豆」という名称は庄内地方の納豆メーカーによって商標登録されています。そのため、他地域で生産されたり味が異なる枝豆が「だだちゃ豆」の名前で出回ることがあります。こうした事態を受けて、JA鶴岡がブランド保護に取り組んでおり、類似品対策を強化しています。

その他の情報

生のだだちゃ豆はもちろん、さまざまな加工品やずんだ菓子なども販売されています。また、従来は特定の生産地域に限られていましたが、近年は他の集落でも高品質な豆が評価されるようになりました。味のクオリティを維持するため、他地方で生産されたものは「だだちゃ豆」として販売しないように要請されています。さらに、山形県の焼酎メーカー「金龍」では、だだちゃ豆を原料にした蒸留酒が夏季限定で販売されています。

このように、だだちゃ豆はその歴史、味わい、文化的背景を持ち、おいしさを求める多くの人に支持されている特産品です。

もう一度検索