ちづる (映画)

ドキュメンタリー映画『ちづる』

『ちづる』は2011年に公開された日本のドキュメンタリー映画で、監督は赤﨑正和が務めました。この作品は、自閉症を持つ妹とその母親の生活を1年間にわたり撮影したものです。立教大学現代心理学部映像身体学科の卒業制作として企画され、後に劇場公開されることとなり、全国各地でのロードショーも実現しました。

制作の背景

赤﨑正和は横浜市出身。彼には妹の千鶴がいますが、彼女は自閉症に加え、知的障害も抱えています。そして、制作の5年ほど前に父親を交通事故で失い、家族は母・久美、兄・赤崎、妹・千鶴の三人で構成されていました。

2009年の秋、赤﨑は立教大学で卒業制作の指導を受けていた特任教授、映画監督の池谷薫と相談しました。その際、妹をテーマにしたものを制作するよう勧められました。初めはためらったものの、赤﨑は決断し、千鶴や日常の家族の姿を撮影することにしました。

彼は、千鶴が楽しそうにはしゃいでいる様子や、家族間のケンカなど、合計30時間以上の映像を撮影しました。そして、母・久美が撮影した映像も作品に取り入れ、赤﨑がその編集を行いました。なお、作品はよこはま発達クリニック院長で福島大学教授の内山登紀夫が監修しています。作品の題字はなんと千鶴自身の手によるものでした。

上映状況

卒業制作という位置づけであったにもかかわらず、池谷の高い評価に後押しされ、自らの後輩たちが上映委員会を結成しました。その結果、『ちづる』の劇場公開が決定しました。赤﨑は、家族のプライバシーを不特定多数の観客にさらすことに対する抵抗感があったものの、作品を世に出すことに挑戦しました。

映画のキャッチコピーである「妹は意外とカワイイかも」と共に、2011年10月29日よりポレポレ東中野と横浜ニューテアトルで劇場公開がスタートしました。公開後、その評価は高く、「ぴあ」の映画満足度ランキングで、三谷幸喜監督の『ステキな金縛り』や、アニメ『映画 スイートプリキュア♪』を抑えて1位に輝きました。

映画公開後の変化

赤﨑は大学を卒業した後、知的障害者支援施設で働き始めました。この経験は、彼自身の人生や作品において大きな影響を与えることでしょう。『ちづる』は、家族と向き合う勇気と、理解を求める姿勢が描かれた、心に残る重要な作品です。

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