ちゅうずもう

ちゅうずもう：ジブリ美術館が贈る、珠玉のアニメーション短編

2010年、三鷹の森ジブリ美術館を舞台に、ひとつのアニメーション映画が誕生しました。その名も『ちゅうずもう』。宮崎駿の企画・脚本、そして若きアニメーター山下明彦の監督デビュー作として、日本のアニメーション史に新たな一ページを刻んだ作品です。

本作は、日本の伝統的な民話『ねずみのすもう』を大胆にアレンジした、心温まる物語です。舞台となるのは、のどかな山村。緑豊かな斜面には畑が点在し、古き良き日本の風景が細やかに描写されています。この美しい背景は、長野県内の実在する風景を参考に制作されたもので、アニメーションでありながら、観る者に現実の風景を感じさせるほどのリアリティを備えています。

監督の山下明彦氏は、絵コンテだけでも3カ月もの時間を費やしたと語っており、その細部へのこだわりは、完成作品からもはっきりと伝わってきます。13分という短い上映時間にも関わらず、緻密な描写と、テンポの良い演出により、飽きさせない内容となっています。

『ちゅうずもう』は、単なるアニメーション映画としてだけでなく、日本の伝統文化へのオマージュでもあります。古くから伝わる民話を題材に、現代的な解釈を加えることで、新たな魅力を生み出しています。子供にも大人にも楽しめる、普遍的なテーマが作品に込められています。

また、公開に際しては、プロモーション活動としてユニークな企画も実施されました。荒汐部屋の力士が美術館に招かれ、子供たちと相撲大会を開催。映画の世界観と現実世界が交差する、忘れられないイベントとなりました。

『ちゅうずもう』は、スタジオジブリが長年培ってきた技術と、新たな才能の開花が融合した、まさに奇跡の作品と言えるでしょう。短い上映時間の中に、多くの魅力が凝縮された、珠玉のアニメーション短編映画です。

スタッフ

企画・脚本：宮崎駿
絵コンテ・監督：山下明彦
音楽：渡野辺マント
制作：スタジオジブリ

関連事項

スタジオジブリ
三鷹の森ジブリ美術館

作品へのアクセス

三鷹の森ジブリ美術館の公式ウェブサイトで、本作に関する詳細情報を確認できます。

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