ついたて将棋

ついたて将棋：相手の盤面が見えない将棋の変則ゲーム

ついたて将棋は、通常の将棋とは異なる、独特のルールを持つ変則将棋です。互いに相手の盤面が見えない状態で行われ、相手の駒の動きや配置を推測しながら、相手の王将を詰ますことを目指します。 相手の動向を正確に推測し、自らの陣形を隠蔽することが勝利への鍵となりますが、同時に、本将棋では考えられないような大胆な戦略や、巧妙な反則誘発も重要な要素となります。

ゲームの流れとルール

ついたて将棋を行うには、将棋盤2つ、将棋駒1組、プレイヤー2名、そして審判1名が必須です。審判は両者の盤面を確認できる位置に盤を設置し、ついたてなどでプレイヤー同士が盤面を見えないようにします。プレイヤーは通常の配置で駒を並べ、本将棋のルールに従って駒を動かします。

審判の役割は非常に重要で、以下の点を注意深く確認します。

駒取り: 駒が取られた場合は、それを相手の駒台に移動させます。
王手: 王手がかかった場合は、それを両者に知らせます。
反則: 反則行為があった場合は、警告し、手を戻します。

ゲームは、以下のいずれかの条件で終了します。

反則回数の超過: 予め決められた反則回数を超過したプレイヤーが負けとなります。
相手の玉の詰み: 相手の玉を詰ませたプレイヤーが勝ちとなります。詰み後は、どのような移動をしても反則となるため、審判は直ちにゲーム終了を宣言すべきです。

反則について

ついたて将棋における反則は、単なるルール違反ではなく、ゲームの戦略的な要素として重要な役割を果たします。反則には以下のようなケースがあります。

不可能な移動（例：角行や飛車の移動先に相手の駒がある）
王手に対して、適切な回避策を取らない（または利きのある駒を取ってさらに王手となる）
駒を打った先に相手の駒がある

反則回数の制限は、一般的には9回とされていますが、初心者の場合は、より多くの回数に設定しても良いでしょう。反則はできるだけ避けるべきですが、逆に、意図的に反則を誘発するような戦略も有効です。例えば、遠駒の移動や、突然の金将・銀将打ちの王手などは、相手の動きを予測する上で有効な手段となる可能性があります。ただし、反則リスクを負って戦略的に利用する場合は、そのリスクを十分に考慮する必要があります。

短いゲーム例

具体的なゲームの流れを、簡単な例を用いて説明します。

1. 先手：7六歩
2. 後手：8四歩
3. 先手：2二角成（反則）

審判は「反則」を宣言し、手を戻します。この際、反則の理由を説明することは禁じられています。「反則」とだけ告げる必要があります。

この例のように、反則の可能性が高い手を指すことで、相手の動向を推測することも、ついたて将棋の戦略のひとつです。

ついたて詰将棋

2人対戦だけでなく、「ついたて詰将棋」という詰将棋と組み合わせた形式もあります。これは、初形が攻め方に全て公開され、玉方の応手だけが不明な状態で行われます。玉方がどのような応手をしても必ず王手がかかるように攻め手を進め、詰ませることが目的のパズルです。

まとめ

ついたて将棋は、相手の盤面が見えないという制約の中で、推理力と戦略性を駆使して戦う、非常に奥深いゲームです。その独特のルールと、反則という要素が織りなす駆け引きは、プレイヤーだけでなく、観戦者にとっても大きな魅力となっています。近年は学術的な研究も開始され、その奥深さが改めて注目されています。

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