でんきくらげとしびれふぐ

でんきくらげとしびれふぐ

『でんきくらげとしびれふぐ』は、2003年4月5日から同年9月27日にかけて、福島放送で毎週土曜日の深夜に放送されていたローカルバラエティ番組です。略称は「でんくら」、または「でんきくらげ」。英字での表記は「DENKRA」でした。制作は株式会社トラストネットワーク福島制作室が担当しました。

番組概要と特色

番組は、様々なテーマを持った短いコーナーを複数組み合わせるオムニバス形式で構成されていました。その内容は既存のテレビ番組のパロディ色が強いものが多かったものの、全くオリジナルの企画も少なくありませんでした。番組スポンサーにはアダルトショップやレンタルビデオ店が名を連ねており、番組内でこれらの店舗に関するパブリシティ的な要素が見られる場面もありました。素人がメインの出演者であり、それが番組独自の空気感を生み出していました。

放送の経緯

本放送は2003年4月に始まり、半年間の放送をもって終了しました。これは当初からの放送予定通りでした。しかし、番組の人気を受けて、同年12月末には30分の総集編スペシャルが放送されました。さらに翌2004年の年末には、「新作スペシャル」と銘打たれた30分の特番として再び復活。この特番は、それまでの全23回という放送回数に続き、5分番組を6回連続で放送する形式がとられ、番組の公式な回数は第28回まで増加しました。これに加えて、公式サイトと連動した番外編「おにぎり」の回も存在します。本放送終了から長い年月を経た2011年5月には、かつてのスタッフが制作した番外編動画がYouTubeで公開され、当時の出演者たちの近況が描かれ話題となりました。

番組を彩った人々

出演者はプロのタレントではなく、一般の素人がそのほとんどを占めていましたが、中には地元のローカルタレントや演歌歌手なども登場しました。各コーナーには個性的なキャラクターが登場し、番組の独特な世界観を構築しました。

主なコーナー紹介

番組を構成した多種多様なコーナーの中から、代表的なものをいくつか紹介します。

世界ビックリショー: 番組開始から終了まで一度も欠けることのなかった、いわば番組の顔ともいえるコーナーでした。

でんくらベストテン: TBSの歌番組『ザ・ベストテン』のパロディ企画です。ローカルタレントと地元リポーターが司会を務め、手回しの得点ボードや回転扉など、本家を彷彿とさせる演出が特徴でした。ランキングは5位から発表され、上位には素人のモノマネやオリジナルソングがランクイン。そして必ず第1位には地元演歌歌手である美滝ヒロシの楽曲がランクインし、彼の中継先でのハプニングが名物となっていました。

でんくらテレビショッピング: 本格的なテレビショッピング番組の体裁をとりながら、常に「スケベ椅子」を「万能いす」として紹介するというシュールな内容でした。様々な用途を強引に紹介し、価格は8,800円。司会は夫婦お笑いコンビが担当し、最後に電話番号の市外局番を歌って終わるのが恒例でした。

DENKRA TV-SHOPPING USA: 上記テレビショッピングの海外バージョンで、外国人のジョンとニックが「perfect chair」としてスケベ椅子を運動不足解消グッズのように紹介しました。

予告編シリーズ: 「喪服の義姉（ひと）」「白衣の義姉（ひと）」など、ロマンポルノ風の映画予告編を模したコーナーです。いずれも「近日公開！」と銘打たれつつ、最終的には「制作中止」や「公開しません」と言い放つオチでした。BGMには有名なドラマや映画の楽曲が使われました。

バトルフォークジャンボリー: 即興でフォークソングを披露し合い、勝敗を決めるというユニークな企画です。挑戦者がチャンピオンに挑む構図で、ここで生まれた楽曲が他のコーナーに登場することもありました。

郡山モード研究所: スポンサーであるブックファン24提供の企画で、コスプレ衣装を着せたマネキンを街中に置き、人々の反応を観察するという実験的な内容でした。ほとんどの人が見て見ぬふりをするという結果に終わりました。

まるさの男: 映画『マルサの女』のテーマ曲に乗せて、実在の食堂の主人が出前に走る様子を映すだけのシンプルなコーナーでしたが、この主人は他の人気コーナーにも度々登場しました。

佐藤C作のエログロナンセンス: スポンサーのレンタルビデオ店が送る、映画紹介コーナーです。佐藤C作という人物が独特な視点で映画を紹介しましたが、番組途中でキャラクターが交代するという展開がありました。

特捜大宣伝: 刑事ドラマ『特捜最前線』のパロディで、事件の捜査を進める中で見つかる「手がかり」が常にスポンサー店舗の宣伝となっているという内容でした。刑事長の歌う楽曲も誕生しました。

ジェニファーを探せ！: スポンサー店舗のCMに登場するマネキン「ジェニファー」が、画面のどこかに隠れているのを見つけ出すという、視聴者参加型の要素を含むコーナーでした。

でんくらの泉: 知識情報番組『トリビアの泉』のパロディです。「県外で使えないムダ知識」と称し、番組出演者の個人的な情報などが明かされました。本放送最終回では、番組が終了するという事実そのものがトリビアとして発表され、出演者を驚かせました。

他にも、絵看板を紹介する「青空美術館」、映画『犬神家の一族』のパロディである「THE SUKEKIYO」、出演者が罵り言葉でしりとりをする「ののしりとり」など、多岐にわたる企画が展開されました。

特番と派生企画

本放送終了後に制作された特番内でも、新たな企画が放送されました。2004年末の「でんくら特番5+1SP」では、食事前後の家族の表情を劇的に変化させるパロディ「大空腹ビフォーアフター」や、福島県内の市町村イメージキャラクターが競走する「市町村対抗・着ぐるみ選手権」、夫婦が意味不明な商品を選ぶ「でんくらさんいらっしゃい」などが制作されました。また、ネット企画だった「おにぎり」チャレンジを映像化した「でんきおにぎりとしびれおにぎり」とその派生である「ふぞろいの握飯(オニギリ)たち」も特番内で放送され、番組終了後もそのユニークな世界観は広がりを見せました。

番組を支えた人々

番組は少人数のスタッフによって制作されていたことがうかがえます。カメラ、音声・照明、編集といった技術スタッフに加え、演出や制作補、責任者といった役割があり、中には出演も兼ねていたスタッフも存在しました。杉山利哉氏や平方誠一氏（イッセー平方）、遠藤英之輔氏（英藤遠之輔）、松本愛氏（松本あいこ）らがスタッフとして名を連ねています。

番組を彩った音楽

番組のオープニングテーマにはクレイジーケンバンドの「タイガー&ドラゴン」が、エンディングテーマには同じくクレイジーケンバンドの「まっぴらロック」が使用されました。これらの楽曲は、番組の独特な雰囲気に大きく影響を与えました。その他、ピチカート・ファイヴやはっぴいえんどなど、様々なアーティストの楽曲が使用されています。番組オリジナルの楽曲も複数制作され、「でんくらベストテン」などで披露されました。

その後

番組の公式ウェブサイトは本放送終了後も数年間更新が続けられていましたが、番組画像の無断転載や制作側の意図しないサイトからのリンクなどを受けて、2006年に閉鎖されました。制作側は、番組が広がることは良いが、意図しない方向に一人歩きされることを避けたいというコメントを残しています。当時のスタッフによるブログも番組終了後しばらく続けられていました。現在は当時のスタッフ関係者によるSNSアカウントや、番外編動画などがネット上で公開されています。

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