マルサの女

映画『マルサの女』のご紹介

『マルサの女』は、1987年に公開された日本の映画で、監督・脚本を手掛けた伊丹十三によって制作されました。この作品は、日本の国税局査察部（略称：マル査）に勤務する女性査察官の奮闘をコミカルかつシニカルに描いたものです。映画は、脱税者と税務当局との緊迫した対立をユーモラスに表現しており、多くの観客から支持を受けました。

受賞歴

本作は第11回日本アカデミー賞（1988年）で最優秀作品賞や最優秀主演女優賞（宮本信子）、最優秀主演男優賞（山崎努）など、多くの部門で受賞し、主要な映画賞をほぼ独占しました。作品の成功を受けて、カプコンがファミコン向けにゲーム化し、続編『マルサの女2』も翌年に制作されました。

あらすじ

物語は南関東のある税務署、港町税務署から始まります。やり手調査官の板倉亮子（演：宮本信子）は、地道に脱税を摘発していきますが、その活動に行き詰まる日々が続きます。そんな時、実業家・権藤英樹（演：山崎努）に注目し、内偵調査を行うチャンスを得ます。しかし、東京国税局査察部に異動することで、彼女の運命は大きく変わります。

亮子は、強制調査権限を持つマル査として活躍を始め、権藤の大規模な脱税を暴くための内偵調査を進めます。調査には暴力団や政治家といった裏社会の存在も絡み、物語は緊迫感を増していくことになります。

登場人物

• - 板倉亮子: 仕事一筋でプロ意識が高い税務官。シングルマザーであり、家庭と仕事の両立に奮闘しています。特に調査対象者の愛人への接触が上手で、外見はおかっぱ頭の寝癖がトレードマークです。
• - 権藤英樹: ラブホテル経営者で、脱税を行う巧妙な男。自身の病と仕事の両立に苦しむ一方で、息子に財産を残したいという親としての一面も持っています。
• - 花村: マル査の直属の上司で、熱血漢。亮子の成長を心強く見守ります。
• - 剣持和江: 権藤の元愛人で、亮子に脱税を密告するきっかけを作ります。

作品は、脱税を取り巻く人間模様を描くとともに、主役の亮子が成長していく様子を巧みに表現しています。暴力団や政界との関わり、そして個人の人生における葛藤を通じて、本作品はただのコメディに留まらず、現代社会に通じるテーマを投げかけています。

制作背景

伊丹十三自身が税について興味を持ったことが本作の制作動機となり、国税庁の協力を受けて正確な描写を心掛けました。この作品は、内容が公的な機関に対する批評的側面を持つにもかかわらず、国税庁が正しい情報を普及するための目的で制作に協力したことは興味深い点です。後にこのテーマは他の作品にも展開され、宮本信子を代表する作品へと繋がりました。

影響

『マルサの女』はそのユニークな視点とキャラクター描写から、多くの人々に愛され続けています。観客は亮子の登場によって税務調査のイメージが変わり、また、映画を通じて税に対する興味が喚起されました。今なお色あせることのないこの作品は、日本映画界における重要な位置を占めています。

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