とかげ座BL型天体

とかげ座BL型天体

とかげ座BL型天体（ビーエル・ラセルタエがたてんたい、またはビーエル・ラクがたてんたい、英語: BL Lacertae object, BL Lac object）は、活動銀河核を内部に持つ活動銀河の一種です。これらの天体は、特に強い電磁波を放出する活動的な銀河の中心核が観測されている天体の中でも、特定の際立った性質を示します。

名称の由来と特徴

「とかげ座BL型天体」という名称は、最初にその特異な性質が認識された天体である「とかげ座BL」に由来しています。とかげ座BL型天体の最大の特徴は、明るさが非常に速く、かつ大きく変動すること、そして可視光において強い偏光を示すことです。これらの性質のため、初めて発見された当初は、私たちの銀河系内の星が明るさを変える現象である変光星と誤認されました。

また、とかげ座BL型天体は、特徴的な輝線がほとんど、あるいは全く見られないスペクトルを示します。これは、強い輝線を持つ他の活動銀河核、特に非常に明るいクェーサーとは対照的です。

観測される現象の解釈

現代の天文学では、とかげ座BL型天体で観測される特異な現象は、活動銀河核の中心にある超大質量ブラックホールから噴出する、光速に近い速度のプラズマジェットが、偶然にも観測者である地球の方向をほぼまっすぐ向いていることによって引き起こされると考えられています。

電波を強く放出する活動銀河核の多様な見え方を統一的に説明しようとする「統一スキーム」においては、とかげ座BL型天体は、ジェットが地球方向を向いた特定の種類のブレーザーとして位置づけられています。これらの天体は、元々は電波を強く放出するタイプの銀河、特に低エネルギーの電波銀河として認識されていました。

現在知られているとかげ座BL型天体は全て強い電波源と関連しており、多くがジェット内部の物質が光速を超えるかのように見える超光速運動を示すことが観測されています。

発見の歴史

とかげ座BL型天体のプロトタイプであるとかげ座BLの特異な性質が最初に認識されたのは1968年、天文学者ジョン・L・シュミットが電波源VRO 42.22.01と光学天体を照合している際でした。彼は、この天体が星とは異なる性質を持つことに気付きました。

その翌年までには、他の研究者たちによって、この天体からの電波放射が時間とともに変動し、かつ強い偏光を持つことが観測されました。これらの独特な性質を受けて、1972年にピーター・ストリットマターらは、とかげ座BLを代表とする新しい天体分類を提唱し、当初は4つの天体がこのカテゴリに加えられました。その後、同様の性質を持つ天体が次々と発見され、1976年にはその数が30個に達しました。

代表的なとかげ座BL型天体

とかげ座BL型天体の代表的な例としては、その名の由来となったとかげ座BLのほか、OJ 287、こと座AP、PKS 2155-304、マルカリアン421、マルカリアン501などが知られています。

もう一度検索