ときめき駅

ときめき駅 - 短命に終わった幻の駅

ときめき駅は、かつて新潟県西蒲原郡黒埼町（現在の新潟市西区）に存在した新潟交通電車線の駅です。駅は、黒埼町北部で開発が進められていた住宅地「ときめきタウン黒埼」の最寄り駅として1997年（平成9年）に開業しました。

開業の背景

ときめきタウンは、電車線を挟んで東西に広がる住宅地でした。しかし、周辺にはバス停はあるものの、いずれも徒歩15～20分ほどの距離があり、公共交通の利便性は高くありませんでした。また、町内の中学校が1校のみだったため、通学手段の確保も課題となっていました。

黒埼町は新潟交通に対し新駅の設置を請願しましたが、当時の新潟交通は慢性的な赤字を抱えており、難色を示しました。そこで、町が駅の設置費用を負担することで合意し、1,300万円強を町が負担して、ようやく駅の開設に至りました。

短い生涯

開業後、ときめき駅は主に中学生の通学に利用されました。しかし、新潟市中心部への通勤・通学には、バス路線との競合や乗り換えの必要性、運賃の高さなどから、利用者は伸び悩みました。

さらに、開業からわずか1か月後の1997年4月、新潟交通が電車線の全廃方針を発表。黒埼町は建設費の負担を巡り新潟交通と紛糾し、対策協議は難航しました。最終的に、新潟交通が建設費を全額返還することで合意しましたが、ときめき駅は1999年（平成11年）4月4日の最終運行をもって、わずか2年20日の短い使命を終え、廃止されました。

廃止後の状況

廃止後、新潟市中心部からときめきタウンを経由して黒埼町中心部を結ぶバス路線が開設されました。ときめきタウン内には「ときめき」バス停が設置されましたが、周辺道路の狭隘さから、一部区間は国道を経由するルートとなりました。その後の道路整備によりバス路線の経路は変更されましたが、2010年には西区バス「黒埼ルート」が廃止されるなど、公共交通網の再整備は十分に進んでいません。

駅の構造と周辺

ときめき駅は、交換設備を持たない地上駅で、無人駅でした。ホームは単式1面1線で、駅舎はなく、カーポートが上屋として代用されていました。ホームにはスロープや自動販売機が設置されていました。

駅周辺は、区画整理事業によって整備された住宅地「ときめきタウン黒埼」が広がっています。

駅名の由来とエピソード

駅名の由来となった「ときめきタウン黒埼」は、北陸自動車道の「ときめき橋」にちなんで名付けられました。駅開業当時は、ゲーム『ときめきメモリアル』の人気絶頂期であり、駅名標などに同作のタイトルロゴを模した落書きが見られたこともありました。

現在

駅の施設は全て撤去され、線路跡は自転車歩行者道として整備されています。

隣の駅

新潟交通

電車線（廃線）

寺地駅 - ときめき駅 - 焼鮒駅

まとめ

ときめき駅は、地域住民の足として期待されながらも、短期間で廃止された駅でした。その背景には、地方の公共交通を取り巻く厳しい現実や、地域開発と交通網整備の課題が浮き彫りになっています。わずか2年余りの短い生涯でしたが、地域住民の記憶には深く刻まれていることでしょう。

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