とて焼

とて焼（とてやき）について

栃木県那須塩原市の塩原温泉郷で展開されている「とて焼」は、地元の名物料理として観光客にも人気を集めているご当地フードです。このユニークなスイーツは、カステラに似たスポンジ状の生地で、各店舗が考案したさまざまな具材を巻いて提供されます。

とて焼の誕生

とて焼の誕生は、比較的最近のことです。2011年に発生した東日本大震災によって、観光客の数が減少し、それを回復させるための取り組みが商工会で行われました。その結果、塩原温泉を訪れる観光客を楽しませる新しい商品としてとて焼の販売が始まりました。当初は、饅頭店が中心となった企画が持ち上がり、他の店舗と連携することで幅広いバリエーションを展開できると考えられました。

この新しいスイーツの名前は、温泉街を散策する「遊覧トテ馬車」に由来しています。また、その形状は法螺貝を模した円錐形で、持ち歩きやすく食べやすいデザインとなっています。生地の種類についても吟味され、最終的にはスポンジ生地が選ばれました。これにより、片手で簡単に食べることができ、観光客が散策中に楽しむのにぴったりなスタイルが実現しました。

とて焼のバリエーション

とて焼の生地は、那須塩原地域の特産品である新鮮な牛乳と卵を使用して焼き上げられています。外見は円形のスポンジ生地であり、クレープのように各店がオリジナルの具材を巻いて提供します。その生地はクレープよりも厚みがあり、カステラに近いふんわりとした食感を特徴としています。

現在、塩原温泉郷では2020年時点で11軒の店舗がとて焼を販売しており、参加店舗は全て塩原温泉のエリアに限られています。これにより、観光客は温泉を訪れるついでに地元のスイーツを楽しむことができます。

具材には、餡やカスタードクリームなどの甘味系が人気で、特に饅頭店ではこれらの伝統的な素材が使用されます。一方で、割烹旅館では地元産の鶏肉を使ったつくねや、蕎麦屋では舞茸の天ぷらなどの食事系の具材も多様化しています。また、中華料理店では豚肉や大根、メンマ、さらには鳴門巻きといった具材を使った「中華とて」、寿司屋ではヅケにしたマグロやイクラ、地元のかんぴょう、そして酢飯を使用した「寿司とて」など、各店舗がそれぞれのアイデアを活かした独自の組み合わせが楽しめます。

まとめ

とて焼は、単なるスイーツに留まらず、観光客が多様な味覚を楽しむことができる魅力あふれるご当地フードです。様々な具材や店舗ごとの工夫を通じて、塩原温泉郷の魅力を存分に味わいながら、楽しいひとときを過ごすことができます。

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