なぜなぜ分析

なぜなぜ分析とは

なぜなぜ分析（なぜなぜぶんせき）とは、特定の問題に対する原因を深く掘り下げるための分析手法です。この手法では、問題の根本要因を探るために「なぜ？」という質問を繰り返し行っていきます。最初に示された問題をもとに、それを引き起こした要因を特定し、その要因がなぜ発生したのかをさらに掘り下げていくのです。この過程を繰り返すことで、問題の本質に迫ることができ、効果的な対策を見つけ出すことが可能となります。

この手法はトヨタ生産方式の重要な要素の一つとして広まり、製造業だけでなく、さまざまな分野で活用されています。トヨタでは当初、『なぜ』を5回繰り返すことが推奨されていましたが、現在では必ずしも5回でなければならないというわけではなく、重要なのは真因に到達することです。

分析の方法

なぜなぜ分析を実施する際には、以下の手順を踏むことが推奨されます。

1. 問題の提示: 最初に問題となる事象を明確にします。この際、後の『なぜ』と論理的につながるよう、問題を絞ることが重要です。
2. 第1回の『なぜ』: 提示した事象の原因を考え、最初の『なぜ』の質問を行います。この際、要因は一つとは限らず、しっかりとした論理のつながりが求められます。
3. 第2回以降の『なぜ』: 各要因について、なぜその原因が存在するのかを繰り返し考えることで、次々と『なぜ』を問い続けます。これを3回、4回と繰り返し、ついには真の原因にたどり着くことを目指します。

この分析を進めていく中で、時に回避不可能な「事象」や「制度」が要因として挙がることもあります。その場合は、分析を終了することが妥当ですが、思い込みにより隠れた問題点が見えてくることもしばしばあります。

利用場面

なぜなぜ分析の応用範囲は、単なる問題分析に留まりません。以下のような積極的な用途も存在します。

• - 商品の改良: 商品やサービスが「なぜ」必要なのかを考えることで、新たなアイデアや改良点を見出すことが可能です。この分析を通じて、商品に求められる機能や効果を一層明確にすることができるでしょう。
• - 教育の改善: 教育活動が行われる理由を掘り下げることで、より効果的な教育内容や教材の開発につながる可能性があります。
• - 施設の安全性向上: 危険箇所に対する分析を行うことで、事故の原因を洗い出し、適切な対策を導入することができます。例えば、注意喚起の表示をしたり、危険を排除するための改修工事を行ったりすることが考えられます。

ただし、注意しなければならない点もあります。負傷者の行動やミスに問題を求めてしまうと、根本的な問題解決を怠るいわゆる「個人の責任」に終わってしまうことがあります。そのため、施設の不備についても再検討し、組織全体で問題解決に当たることが重要です。

参考文献

• - 『なぜなぜ分析徹底攻略ドリル―なぜなぜ分析を使いこなそう!』 小倉仁志、JIPMソリューション、2009年
• - 『効率的な真因追求のための「なぜなぜ分析」の進め方』 浅川富昭、ブイツーソリューション、2009年
• - 『ISO9001 内部監査における是正処置のポイント―“なぜなぜ解析”で原因究明と再発防止!』 小沢豊、原田明夫、日科技連出版社、2002年

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