なとり

株式会社なとり

株式会社なとり（英: NATORI CO., LTD.）は、日本を代表する食品メーカーの一つであり、特にバラエティ豊かなおつまみや乾燥珍味製品に強みを持っています。同社の代名詞ともいえる製品が「チーズ鱈」、通称「チータラ」であり、その開発・販売を手掛ける企業として広く認知されています。企業が掲げるコーポレートメッセージは、「ひとつまみの幸せ」であり、食を通じた小さな喜びの提供を目指しています。

沿革

なとりの歴史は、1948年6月に名取光男氏が株式会社名取商会を設立したことに始まります。事業を拡大し、1959年4月には東京都北区豊島に豊島工場を改修・操業開始しました。1964年3月にはなとり食品販売株式会社を設立し、同年5月には商号を株式会社なとり商会に変更するなど、販売体制や組織体制を強化しました。その後も、1979年10月に株式会社なとりデリカ、1982年7月に株式会社上野なとりを設立するなど、関連事業の展開を進めました。

創業者の名取光男氏は1981年8月に死去し、専務であった名取小一氏が二代目社長に就任。1991年5月には、会社名を現在の株式会社なとりに変更しました。経営基盤の強化にも取り組み、1999年11月には株式を店頭公開、2001年9月には東京証券取引所市場第二部への上場を果たし、翌2002年9月には市場第一部へ指定替えとなりました。企業の透明性を高める努力は評価され、2004年1月には東京証券取引所の「第9回ディスクロジャー表彰」を受賞しています。

近年では、2007年6月に豊島ファクトリー＆オフィスが完成したほか、2012年1月には中国に南京名紅旺食品有限公司を設立するなど、国内外への展開を進めています。また、グループ内の再編も行われており、2018年10月には株式会社名旺フーズが株式会社上野なとりを吸収合併しています。

歴代の社長としては、創業者の名取光男氏、二代目の名取小一氏を経て、現在は名取三郎氏が社長を務めています。

主力商品

同社が手掛ける製品ラインナップは非常に多岐にわたります。中でも特筆すべきは「チーズ鱈（チータラ）」です。この製品の開発にあたっては、当初いかを原料とした「チーズいか」が試作されましたが、常温での変色が課題となり、応用研究の結果として現在のチーズ鱈が誕生しました。原料のチーズは世界中から厳選されています。

その他の代表的な製品としては、おつまみの定番である「さきいか」や「あたりめ」、「イカフライ」といったイカ製品に加え、「ねり梅」、「ビーフジャーキー」、「ジャッキーカルパス」などの加工肉製品や、近年需要が高まっている「チーズ」、「ナッツ」類があります。

また、「帆立貝柱」、「スルメ」、「昆布」、「茎わかめ」、「干し梅」といった魚介・海藻系の乾燥珍味も得意としており、幅広い嗜好に応える製品を提供しています。これらの製品は、「一度は食べていただきたいシリーズ」、「技の逸品」、「酒肴逸品」といった独自のブランドシリーズを通じて展開されています。

事業と活動

おつまみ・珍味の製造販売に加え、百貨店での惣菜販売（中食産業）にも関連事業として取り組んでいます。製造拠点としては、主要工場である埼玉工場（埼玉県久喜市）があります。国内には株式会社なとりデリカ、株式会社全珍、株式会社名旺フーズ、メイホク食品株式会社、株式会社函館なとり、株式会社CTF、株式会社メイリョウ、株式会社コーポレート・アソシエイツ、有限会社やまななど多数の子会社があり、グループ全体で事業を展開しています。海外では、中国に南京名紅旺食品有限公司（持分法適用関連会社）を有しています。

過去には、夢路いとし・喜味こいし、和久井映見、梶原善、梅野泰靖といった著名人がCMに出演したこともあります。また、テレビ番組「笑点」の提供スポンサーであった時期もあります（2015年4月～2018年3月）。

特筆すべき活動として、2022年1月からは日本相撲協会のトップパートナーを務めており、1957年以降、現在に至るまで大相撲の呼出が着用する着物の背に社名広告が掲示されていることでも知られています。2024年初場所からは、「呼出パートナー」契約も兼任しています。社会貢献活動にも積極的で、2010年からは食育推進の一環として、児童向けの「いかセミナー」を開催しています。これらの取り組みに加え、2004年には「第2回誠実な企業賞」の大賞を受賞するなど、企業としての信頼性も高く評価されています。

公式サイトや主要SNSアカウント（X、Facebook、YouTube）を通じて、製品情報や企業活動に関する情報発信を行っています。

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