なよたけ

戯曲『なよたけ』の概要

加藤道夫が執筆した戯曲『なよたけ』は、5幕9場から成る作品で、日本の古典物語『竹取物語』にインスパイアを受けています。この作品は、作者がフランスの戯曲『オンディーヌ』に影響を受けつつ描かれたと言われています。執筆は1943年の秋に始まり、1944年の春には完成を見ました。

書き上げと発表の経緯

道夫は執筆後、原稿を友人に預けた後に陸軍省の通訳官として出征しましたが、作品は1946年5月から雑誌『三田文学』で連載され始め、5回にわたって発表されました。連載の途中で道夫は復員を果たし、作品の評価が高まる中、1948年12月には『なよたけ』により第1回水上瀧太郎賞を受賞しました。

その後、1951年4月には書肆ユリイカから単行本が限定出版され、同年6月には尾上菊五郎劇団による一部省略版『なよたけ抄』が新橋演舞場で初演を迎えました。本作の完全上演は1955年に文学座により行われ、芥川比呂志の演出のもと、大阪毎日会館で上演されました。

登場人物とあらすじ

『なよたけ』の主な登場人物には、石ノ上ノ文麻呂、なよたけ、清原ノ秀臣、小野ノ連、大伴ノ御行、讃岐ノ造麻呂（竹取ノ翁）、瓜生ノ衛門、石ノ上ノ綾麻呂といったキャラクターがおり、彼らの絡みを通じて物語が展開していきます。それぞれの人物が持つ背景や感情が、作品に深みを与えています。

舞台公演とその重要性

『なよたけ』は数多くの舞台公演が行われ、演出者や出演者によって様々な解釈がなされました。尾上菊五郎劇団による初上演が行われた後、青猫座や文学座などの公演も続きました。特に、1955年の文学座公演では多くの観客の心をつかみ、再演のリクエストが高まりました。また、2000年には新国立劇場での上演も行われ、今なおその影響力は色あせることがありません。

書誌情報

『なよたけ』は、当初1951年に書肆ユリイカから発刊された後、未來社や新潮社、青土社などからも再版されており、現在に至っても読み継がれています。これにより、多くの人々がこの作品に触れる機会を得ています。

まとめ

加藤道夫の『なよたけ』は日本の戯曲としての重要な位置を占めており、古典文化への理解を深めるための大きな一歩となりました。戯曲の中で描かれる人間ドラマや感情の起伏は、時代を超えて観客に共鳴し、これからも多くの舞台で取り上げられることが期待されています。

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