ぬのびき型消防艇

ぬのびき型消防艇の概要

ぬのびき型消防艇は、海上保安庁に属し、特に海上火災に対応する使命を果たしてきた消防艇です。1974年に最初の船「ぬのびき」が竣工し、その設計は大型の石油タンカーの炎上事故への対策と地域港における火災消火を目的としています。

開発の背景

1969年、多くのタンカーが火災による事故に見舞われる中で、海上保安庁は大型 tanker 向けのひりゆう型消防船を導入しました。これにより主要港での火災対策が強化されましたが、一方で地方の小規模な港における消火活動の必要性が浮上しました。そこで、1974年には、地方での船舶火災に迅速に対応できる小型消防艇「ぬのびき」が誕生しました。

設計の特徴

ぬのびき型消防艇は、おとわ型消防艇などの小型消防艇に取って代わる形で設計されました。サイズは大きく、外観はひりゆう型の小型版ともいえる魅力を持ち、特に大型の櫓が特徴的です。この消防艇は、主に600馬力のディーゼルエンジン一基と、500馬力のディーゼルエンジン二基を搭載し、消火活動の際は主機関を消防ポンプとして使用しながら、他のエンジンで移動します。

消防用設備の詳細

消防装備は、ひりゆう型消防船に比べて大幅に少なく、消火効率を保つために工夫されています。各種放水鋼と冷却用水の放水銃を装備し、特に第1放水甲板には、近距離火災に対応するための放水銃が二基備えられています。これに加えて、船橋天井部分には、火災の類焼を防ぐための海水専用放水銃も備わっています。また、夜間用の探照灯も設けられており、船首には泡水兼用の放水銃が取り付けられています。加えて、陸上への送水援護が可能なホース接手も装備され、自衛用の海水噴霧ノズルや油処理剤散布装置も完備されています。

運用の実績

ぬのびき型消防艇が就役した1974年には、早くも大きな危機に直面しました。第十雄洋丸事件が起き、海上保安庁の保有するひりゆう型消防船が消火活動を行いましたが、火を抑えることができず、最終的には船を沈める決断がなされました。この事件を教訓に、ぬのびき型消防艇の配備も強化され、最終的には1981年までに10隻が建造されました。

引退と後継船

ぬのびき型消防艇は、1999年に老朽化した3番船「おとわ」に続き、2013年までに全艇が解役されました。その後、これらの消防艇の機能を引き継ぐ形で、より高い消火能力を持つよど型巡視艇が新たに建造されることとなります。

参考文献・リンク

• - 徳永陽一郎・大塚至毅著『海上保安庁 船艇と航空』（成山堂書店、1995年）
• - 『世界の艦船 増刊第62集 海上保安庁全船艇史』（海人社、2003年）
• - 船の科学館 - バーチャル博物館

このように、ぬのびき型消防艇は、海上火災対応の歴史において重要な役割を担い続けた航空船です。

もう一度検索