はくちょう座カイ星

はくちょう座χ星の詳細

はくちょう座χ星（χ Cygni）は、はくちょう座に位置する明るいミラ型の脈動変光星です。この星は1686年にドイツの天文学者ゴットフリート・キルヒによってその変光が発見され、以降は天文学の重要な対象の一つとして知られています。特に、新星や超新星以外の変光星の中では、ミラ星とアルゴルに次いで三番目に早く発見され、その重要性が際立っています。

物理的特性

はくちょう座χ星は、約408.05日の周期でその明るさが変化し、3.3等から14.2等までの幅広い明るさを示します。しかし、特に明るくなる時期の最大光度は必ずしも3.3等に達するわけではなく、通常は4.3等から5.1等の範囲です。例えば、2014年には最高でも7等前後までしか明るくならなかったことが報告されています。

星の最も暗い時には14.2等まで暗くなることもありますが、最大の明るさに比べるとその変化の幅は小さく、平均的には13.3等から14.1等の範囲内に収まることが多いです。これに加え、はくちょう座χ星のスペクトル型はS6,2e-S10,4eと変化します。このS型は赤色巨星特有のもので、酸化ジルコニウムに関連した吸収線が見られます。

一般的な低温度星のスペクトル型はK型またはM型ですが、これらは赤色矮星や赤色巨星、赤色超巨星です。一方、S型の星はこれらのタイプには存在せず、独自の特徴を持っています。これは、はくちょう座χ星が持つ特殊な物理的性質を示すものです。

観測と導入法

はくちょう座χ星は、観測の際にγ星とβ星アルビレオの間にあるη星の近くに位置することから、非常に見つけやすいとされています。観測の目印として、薄黄色の5等星である17番星と2つの6等星が形成する直角三角形が有効です。この配置を利用すれば、観察者は特定の位置を容易に特定することができるでしょう。

観測機材に関しては、極大光度の近くでは双眼鏡を使うだけでも充分ですが、極小の状態では口径15cmから20cm程度の望遠鏡が必要となります。これは、星の光が非常に微弱になるため、より高倍率の装置が求められるからです。

参考文献と外部リンク

この星に関する詳細な情報は、日本変光星研究会にて掲載されたはくちょう座χ星の星図や観測情報などを参考にすることができます。興味がある方は、是非ご覧いただき、はくちょう座χ星の魅力に触れてみてください。

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